愛の夢とか

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うまく言葉にできない、とは

どういうことだろうか。

 

川上未映子さんの『愛の夢とか』を

ずっと読もう読もうと思っていた。

旅先の駅の本屋で、快速に乗る前に

寝過ごして降りる場所を間違えることの

ないように一冊の文庫を購入した。

それが『愛の夢とか』だった。

 

 

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前に『すべて真夜中の恋人たち』

という長編小説を読んだ。長編小説つながりの

『ヘヴン』も読まなきゃな、って思った。

今、『すべて真夜中の恋人たち』を

読んだときのブログを読んできたけど

私、一年経っても目の付け所が変わらないな。

 

うまく言葉にできないということは、誰にも共有されないということでもあるのだから。つまりそのよさは今のところ、わたしだけのものということだ。(9ページ『アイスクリーム熱』より)

 

ちょうど一年ほど前、川上さんの長編小説を

読んだときも「言葉」についての記述に

目をとめたようだったのだ。

 

『アイスクリーム熱』『お花畑自身』

『いちご畑が永遠につづいてゆくのだから』

なんて、いちいち章のタイトルが可愛らしい

短編小説だった。

 

文庫のタイトルになった『愛の夢とか』は

まさに、リストの〈愛の夢〉を

おばあさんが演奏している話。

好きだと思った。

 

川上さんの描く物語は、人間が普段

何気なくやってるけどわざわざ人に見せたり

発信したり共有したりしないところとか

人に言わない考えが丁寧に綴られてると思う。

そしてそんな文章を読んでいて想像するのは

センスのいい色づかいをする画家が

細い線で描いた、挿絵のようなものだ。

 

愛の夢とか』に出てくる主人公たち

みんなを抱きしめたくなってしまった。

特に最後の短編(と言えども一番長い)

『十三月怪談』が一番よかったな。

人の現実は、その人が考えている通りに

いかようにもなっていくのかなと感じた。

 

さて、何を考えようかな。

「うまく言葉にできないということ」

について。

私、ずっと、考えごとは夜にするのがいいと

思っていたけど、どうやら

アウトプットするのは朝がいいらしい。

だから朝にこのブログを書いてます。

 

赤と青を混ぜて

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旅に出るときの鞄に差し込んだ本は

ただでさえいつもよりも印象深く見える。

でも、旅先で読んだ山内マリコさんの

『パリ行ったことないの』は

さらにいつもよりも濃い印象を残してくれた。

 

彼女の著書『ここは退屈迎えに来て』で

"ファスト風土"という言葉を知った。

ありそうな地方都市でのアレコレ、

鬱屈した人々の精神が描かれていて、私は

車で買い物に出かけた時によく見る景色を

見ては本の内容をそっと思い出したりした。

 

少し前に『アズミ・ハルコは行方不明』

という映画を映画館で観た。

これも、原作が山内マリコさんで

センスのいい本しか置いていないと評判の

書店で見かけて以来気になってた作品だった。

主人公・アズミハルコを蒼井優さんが、

地方都市で派手に暮らす可愛い女の子を

高畑充希さんが演じていた。

『ここは退屈迎えに来て』で描かれていた

地方都市のあの側面をまた、

映像で見るとこうなるのかと実感した。

思ったよりもファンタジック。

 

そして、ついに手にとったのは

『パリ行ったことないの』というわけだ。

 

タイトル通りパリに行ったことがない

女性たちが主人公の短編集。

でも、パリに行ってみたいと

熱望する者ばかりでない。

「パリでも行こっかな」なんて人もいる。

 

今までに触れた山内作品で描かれる

地方都市の鬱屈とした部分はそのままに、

「女性は歳を重ねてこそ美しい」

「どう生きたいかは自分の軸で決める」

といった、女性たちの憧れの的になる

"フランス人の生き方"といったものが

対照的に描かれているという構図。

 

彼女のたちの「パリに行こう」という

望みは叶うのか、その結末はぜひ

小説のページをめくって確かめてほしい。

 

私自身もパリには行ったことがなくて

「第三」外国語の授業として

フランス語を履修してしまうくらいには

パリに憧れがあるし、

パリジェンヌみたいなマインドで生きたい。

だから『パリ行ったことないの』を読んで

主人公の女性たちと一緒に考えた。

「あこがれ」にとどまらないパリの印象も

本の中には描かれていてそこが清々しい。

 

赤と青を混ぜたらまあ、紫色になる。

日本の小さな都市で暮らす気持ちを赤として

パリでの凜とした暮らしを青とすると

『パリ行ったことないの』では

赤青の二色を混ぜたら真ん中には白が出来て

国旗みたいになるかなあ、なんて

ちょっと変なことを考えたりもした。

 

 

「おせいさん」のエッセイ

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おいおい、またまた久しぶりじゃん。

今、スターバックスにもらった

ドリンクチケットの期限がせまってるのに

気付いて、ベンティサイズのラテと引き換えて

それでイスに座ってこれを書いてる。

さむいので、フラペチーノな気分じゃない。

 

昨年田辺聖子さんの小説に出会って

(夏休みだった。『孤独な夜のココア』)

すっかり田辺さんの書く文章が好きになり

『おちくぼ姫』という、古典を訳して

田辺さんらしい文章になったものも読んだ。

 

そして、今年やりたいことの1つにあった

田辺聖子さんのエッセイを読む」

を叶えるべく、私は全3冊の

エッセイシリーズを本棚にそろえた。

 

『女は太もも』『やりにくい女房』

そして今読んでいる、『主婦の休暇』。

 

「おせいさん」こと田辺聖子さんと

仲良し「カモカのおっちゃん」が

様々なことをあーでもない、こーでもないと

小気味よく議論するエッセイだ。

様々なこと、なんてぼかして書いたけど

とくに1冊目『女は太もも』は

男と女についてが多い。

 

「おせいさん」の紡ぐ言葉は、

小説ももちろんそうだけれどエッセイになると

どうしてこんなに優しいのかな。

「人間ってどうしてこんなにだめなんだろね」

なんてことが書いてあっても、

その根底には人間に対する愛があふれてる。

 

2冊目『やりにくい女房』では、

エッセイが書かれた時代(1970年〜80年代)に

起こった出来事をなぞりながら

(チジョウのもつれで起きた事件とか)

「おせいさん」と「おっちゃん」が

これからの時代を憂いたりする。

でもそれも、「これから日本は

どうしようもなくなってくね」じゃないのだ。

女の人がもっと活躍したらいいとか、

そういうことは

昔から言われていたみたいだけど、

その先まで想像しているのがおもしろい。

 

「おせいさん」のエッセイを読んでいると

気持ちがスーッと楽になる不思議。

最近色々なところに出掛けているので

ふとさみしい気持ちになったり

必要以上に緊張したりするんだけれど

「おせいさん」のエッセイがカバンにあると

これまたスーッと心がほぐれてゆく。

 

今読んでいる3冊目『主婦の休暇』でも

すこし前に起こった事件とか、

おいしいお酒のことが書いてある。

最近も田辺聖子さん、

新しくエッセイを書いたのが

文庫になったみたいなので

このシリーズを読んじゃっても寂しくない。

 

そしてまた、小説も読みたくなるのだ。

累計4万アクセス!

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ここ1ヶ月、更新をお休みしている間に

アクセスカウンタが40000アクセスを超えたと

私に教えてくれました。

 

2014年の秋に始めたこのブログ。

当時は19歳だったけど、

あっという間に22歳!!

あの頃とは同じ大学生ではあるけれど

考え方も髪型も、

ライフワークとしていることも

どんどん変わってきています。

 

そんな中でもやっぱり文字を綴ること

本を読むこと、ゆっくり休むこと、

何か面白いことを探すことが好きなのは

変わっていないようです。

その気持ちがモチベーションになって

ブログを書かずにはいられなくなったり。

 

ありがたいことに、ときどき週末に

出演させていただいているラジオ番組でも

公式のfacebookをブログのようにして

好きなことを書ける機会をもらっています。

番組でお話ししたことに関連して

より詳しく説明したり、

番組でお話しそびれたことを追加したり

楽しく書かせていただいています。

 

それでも話しきれなかったこと、

もっとささいなこと、これからもこの

ブログに綴っていけたらと思います。

 

おととい、ふと1年前kindleで読んだ本を

読み返したくなって読みました。

kindleだったので本を出してくる手間もなく、

端末から簡単に過去の私に寄り添ってくれた

ものにアクセスできて便利でした。

気に入った文章に線を引く機能を

使っていたので、どのページに線を引いたかな

と見直してみるのも楽しかったです。

1年前にはじっくり読まなかった部分にも

おとといは線を引きながら読みました。

過去に選択したものが、また今の私の

背中を押してくれているようでよかったです。

 

学生生活もあと少し(の予定)だけれど、

このブログにも学生の頃考えていたことを

ぎゅっと入れることが出来たらいいな。

 

いつも、ブログ「謎の国のありす」

を読んでくださってありがとうございます。

これからものんびり更新していきます。

 ぜひたまに遊びにきてください。

夜は短し歩けよ乙女

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森見登美彦さんの書く京都の世界が好きで、

高校生の頃「四畳半神話大系」を読んだ。

「〜見聞録」も読んで、次は

夜は短し歩けよ乙女」だなと思った。

 

大学1年になって読んでたんだけど、

「黒髪の乙女」の行動と思考がなかなか

破天荒なので、主人公の「先輩」と一緒に

何度も彼女を見失ってしまいながら読んだ。

結果、ものすごく時間がかかった。

 

「なぜかなかなか読み終わらない本」について

いつか、大学の友人と語ったことがある。

「私は…夜は短し歩けよ乙女かな」

「え、それ私も」「俺も」

みたいな会話になったことを覚えている。

あれからみんな読んだのかな。私は読んだよ。

読んだ感想は、

「なんだかわからんけどとってもすっきり」

という曖昧なものだった。

 

 

そして、星野源さんと花澤香菜さんの主演で

アニメで映画化されることになって、

私は森見登美彦さんの本の表紙絵を書く

中村佑介さんの絵が好きだったこともあり

とっても楽しみにしていたのだった。

 

中村佑介さんの絵は、

ASIAN KUNG-FU GENERATION

CDジャケットでもお馴染みで、

画集を借りて眺めていた思い出がある。

映画の主題歌もアジカン

まさに中村佑介さんの絵がつないだ

すてきなコラボなのだった。

 

春からナビゲーターをしているラジオ番組で

主題歌をリクエストしてくださった方がいて

うっかり公開日を忘れていた私に

「公開日は、お!おとといですね〜」と

気付かせてくれたので、感謝しています。

主題歌を聴いてみて、ますます観たくなった。

 

さえない大学生「先輩」を演じる星野源さんも

好奇心旺盛で人当たりの良い

「黒髪の乙女」を演じる花澤香菜さんも

そして脇を固めるキャストの皆さんも

ぴたりとキャラクターに声がのっていて

クスクス笑ってばかりの時間だった。

 

「四畳半〜」のアニメは観たことがなくて

動く森見登美彦作品を観るのは

初めてだったけど、色づかいがよかった。

 

破天荒に思えたストーリーの流れも

映像で観るほうがなんだかすんなり入ってきて

映画を観にいく前に原作を読み返すことは

していなかったのに、映像を観ていて

「このエピソード、あったー!」と思える

場面がたくさんあって心地よい。

 

京都といえば、最近観た映画では

「ぼく明日」などでも舞台になっていたけれど

また違った雰囲気が楽しめる作品だった。

 

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そして、ね、きっと映画に出てきていた

あるバーを見たとき、

これってもしかして行ったことある?

と心あたりのある場所も出てきてときめいた。

(東京にあるほうのお店だけれど)

そしてまた行きたくなったし、

京都と東京で映画とのコラボキャンペーンも

行われているようなので気になっている。

 

最近はなかなか映画をパッと見にいける

時期じゃないけれど、ぜひぜひ

気になる映画は時間を見つけて観に行きたい。

 

「先輩」の取り柄は

「できることをコツコツと」。

あせるなよ、と背中を

押してくれる作品でもあった。

21歳最後の記憶

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サッサと22歳になってしまった。

テイラー・スゥイフトが歌ってる、年齢。

 

最近ものすごく変な夢を見てる。たとえば

ゴジラが「今まで暴れてごめんな」って

謝ってきて、映画館でお葬式をする夢。

免許更新をする前の日の夜だったから、

私はいつもはサボりがちな運転を

夢の中ではしかもイカしたマイカーでしてた。

 

21歳最後に見た夢も変だった。

変すぎて、ここには書けません。

半分忘れてしまったもの。

 

21歳最後の夜は、テレビで

吉岡里帆さんを見て、綺麗だなって思って

ドラマ「カルテット」で

私と同じ名前の女の子を演じていたのが

すごく嬉しかったのを思い出した。

劇中でみんな、私の名前を呼んでくれててさ。

ありがとう、サイコパスのありすちゃん。

 

もう寝ようかなと思って23時ごろ

一度だけ部屋の換気をしようと思って

窓を開けて、なんとなく濡れている

外の空気と景色をしっかり眺めてみた。

 

そうしたら、最寄りの電線に

カラスが二羽、ひっそり寄り添っていて

その光景がとても平和で

二羽の周りには明かりもほとんどないのに

闇にのまれるでもなくそこにいて

なんだか「おとなだな…」と思った。

 

昼間のガーガー、バサバサ、ギラギラ、

ポトン(ふんの落ちる音)って雰囲気はなく

どこまでも静かで平和な二羽だった。

朝になったらまたゴミ捨て場を

荒らすんだろうけれど、そんな顔してない。

 

それが私の21歳最後の記憶。

いい歳でした。

 

22歳最初の夜は、月がまだ満月から

少し欠けたくらいで明るくてまっさらな感じ。

日曜日のスタジオから

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先週から、縁あって

ラジオの番組をやっている。

ブログでもお知らせをしようしよう…

と思いつつ、とうとう2回目の放送の

前の日になってしまった。

 

リスナーの皆さんからのリクエストに応える

日曜のお昼、生放送の音楽番組だ。

 

頂いたメッセージを読んで、曲をかける…

だけではなくて、番組冒頭のあいさつから

メッセージから話を膨らませること、

CMから戻ってきたときのひとことなど

私自身の言葉が必要な場面がいっぱいある。

 

第1回の放送が始まるまでは、

どうやって言葉をつなげよう…とか

メッセージはちゃんとくるかしら…とか

心配ごともたくさんあった。

だけど始まってみると、緊張こそするものの

メッセージがとても嬉しいし、

とにかく聴いている人に楽しんでほしい!

という気待ちが心配よりも大きくなり、

結果、全力の90分となった。

 

ラジオで話すことがなくならないように

春休みはブログを書くのも控えたりしてたけど

話すことと、書くことは違う側面もあって

どっちも楽しいんだなーという気持ちだ。

これからも読んだ本や見た映画、

生活のことを書きたいのでブログも書こう。

 

実際に生放送を経験してみて、

人前で話したり臨機応変にコメントをしたり、

何か1つのことにでも知識に長けていたり、

そういうことが出来る人ってすごいと思った。

私もこれから強化していきたいし、

自分に足りないことも、それでも

まだまだ頑張れる部分も

見つかった先週だった。

 

もちろん、ラジオができるのは

私一人の力でなくて、

指示が的確な敏腕のディレクターさんや

私にしゃべりの技術を教えてくれる先生、

支えてくれるスタジオの皆さんや

家族友人を含めたリスナーの皆さん、

そして一緒に番組を盛り上げてくれる

女子大生トリオのおふたりがいてこそだ。

 

第1回の放送で経験したこと、思ったこと、

いつも忘れずにこれからもマイクに向かって

ラジオで声を届けていきたい。

 

なんてったって、「あの頃」の音楽が

私は大好きなので、たくさんの人の心を

震わせてきた音楽を勉強出来るのが楽しい。

 

今週末も私が担当です。

BSN radio「Sunday Music Navi」

日曜 11時から90分間生放送。

第2回もぜひおつきあいください。