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有言実行より不言実行より有言不実行

時には有言不実行であれ、と自分に言い聞かせている。

 

小学生の頃に訪れた第一反抗期、「有言実行」という言葉を学んだとき、私の頭の中の辞書にぼうっと現れてきたその言葉の意味に少し反発して「黙ってさらっとこなしたほうがかっこいいんじゃないか」と考えた。以降、不言実行を意識するうちに有言するのが恥ずかしくなった。手帳にいつでも消すことができるように鉛筆で書いてあるのは未来の予定、ペンで書いてあるのは過去に過ぎたこととして確定したもの、とまるで鉛筆を予防線の如く活用している癖は有言実行をちょっと恐れていることへの名残なのかもしれない。

 

だけど不言実行はときどき誤解される。受験生の時、まわりの人に「勉強を頑張っていますよ」とでも言わないと何もしていない人に思われることがあった。自分との約束も、言葉にしないままにしているとどこかに行ってしまうことがある。だから、有言実行は無敵に思えた。

 

悩む、相談するのプロセスをたどるとき、心の中では相談する前から答えが決まっているなんていう。確かに具体的なアドバイスを示されるより、話し合ううちにぽつりぽつりと生れ出た気持ちに従ってみるほうがしっくりくる。そしてアクションを起こすことが必要な場合、「起こすね」と宣言してみる。背中を押されてその場を後にしたらもう戻れない。これは立派な有言実行だと思う。

 

では、有言不実行とは?

 

先日私は文章を書くことに長けている人を尊敬していると書いた。

スマートに暮らしてみようかな - 謎の国のありす

そう、有言不実行とは言葉だけで気持ちを示したり、何かを伝えることである。

 

とてもいい例があるのに言葉にしにくいので、これはあまりいい例ではない。とくに目上の人にお礼か何かをするとき、「ありがとうございます」という言葉の他にぺこぺこした動作を行いがちだ。そしてそのぺこぺこは、言葉を発した後も続きがちだ。LINEのスタンプも似ているかもしれない。「ありがとう」の代わりに、「了解です」の代わりに、「もう会話は終わりにしましょう」の役目はひとつのスタンプに担わせる。これはある意味不言実行だ。

 

余計なぺこぺこはしないで、目を見て「ありがとうございます」と言って会話を楽しむ。上に添付した記事を書いてからスマートについて考えてみたところ、私なりのスマートさはそういうところから始まるのかもしれないと思った。

 

前置きが長すぎた。今日とても書きたかったこと。

20代の宿題:文化を創る、というのはひとりを幸せにすること

昨年末新潟を去ってしまった西田さんとツルハシブックスで早くも再会。12日、サンクチュアリ出版の副社長を務める金子仁哉さんのトークライブに出向いてきた。

 

サンクチュアリ出版の本との出会いは高校3年生の時だった。「本を読まない人のための出版社」と本に挟み込まれた出版社案内には書いてある。確かに、字がずらずらと書いてあるよりも写真や言葉が目立ち、さらっと読める印象だった。

 

「本を読まない人のための出版社」というキャッチコピーに込められた思いはどんなものなのか。読書をしない人が多い現代、読書をする人をターゲットにして本をつくるよりも、読書をする人よりはるかに人口の多い読書をしない人のための本をつくることで、読書の喜びを広げたいと金子さんは語っていた。

 

サンクチュアリ出版の本はどれも魅力的に見えた。その秘密はやっぱり丁寧に作っているからだった。アイデアが降ってこなくて困っているという私の悩みにも、「何をしていてもいつも本のことが頭の片隅にあって、日常からアイデアを集めている。全く違う情報が何かに結びつくこともある」という金子さんの言葉は参考になった。

 

すぐ前にあることを真剣に考え続け、人生を変えていく…最近発売されてノリにノッてるはあちゅうさんの「半径5メートルの野望」がふと思い浮かぶ(駅前のジュンク堂では昨日在庫を切らしていたようだ)。

 

さまざまな言葉に共感し、胸を打たれ、時に笑い、あっという間の時間だった。素晴らしい収穫は沢山あったけれど、その中でもやはり言葉の力の強さを感じた。

 

言葉が人を死に追い込むことがあるし、命を救うこともある。大げさな話に聞こえるかもしれないけれど、本当にあったことだった。言葉を他のあらゆる技術と戦わせることもある。

 

本には言葉があって、ときどき絵や写真がある。強要はしないし、受け答えもしてはくれない。それらはそこに存在するのみで役割を果たす。本も有言不実行なものだということに私は気が付く。

 

もちろん行動することは立ち止まったままでいるよりも有意義なもので、素晴らしいことだ。ひとつひとつの行動をかつてより意味のあるものにするためにも、言葉で伝えられる人になりたい。

 

最後にサンクチュアリ出版の本で読んだことのある中から私のお気に入りを…

 

自由帳

自由帳

 

 

サンクチュアリ出版を立ち上げた高橋歩さんによるすてきな一冊。