読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

半年越しの夢、鏡越しの大人。

ランコムのマスカラを使いはじめた。

f:id:alicewithdinah:20150130173829j:plain

どうやら7月からほしかったらしい。

半年も前のtweetを載せてしまったことで今日書きたかったことはすでにねたばれになってしまいそうだし、化粧品を買ったことをブログに書くことは女の子感満載になってしまいなんだか恥ずかしいが、私の中で意味のある出来事だったので書いてみたい。

マスカラは使い切るまでに半年弱かかる。今まで使っていたものはカスカスになってしまったのだが、たしか夏頃から使っていたものだった。ということは、今から新しいものを使い始めてそれが切れる頃には私は20歳になっているはず!

20歳も29歳も同じ20代にくくられる。小学生で迎える10歳から19歳の今というと心も身体もまるで別人のように成長できる期間だ。でも、学生あるいは社会人になりたてで迎える20歳からの10年間は社会的立ち位置という点でもとる責任の大きさという点でも、さらに変化していく気がする。そのためか、20代からは大人!というイメージが昔から私の中であった。

リップグロスが切れたという母に連れられてデパートの化粧品売り場に行くと、そこはきらきらとした空間。大人になったら母と同じようにここに置かれた化粧品たちを使って毎日出かける準備をするのだな、と思っていた。

そんなことを思っていたくせに、20歳目前にして「あれ、もうすぐ大人になんの?」とびっくりするのである。まだまだ早いような気もする。でも、じゃあ、いつから?と思うとそろそろのような気もする。

最初に載せたtweetにあった通り、夏にパーマをかけ直しに美容院に行った時、置かれていた雑誌「FRaU」に川上未映子さんによるランコムのマスカラについての文章が載っていた。

ライターが書く化粧品へのコメントも工夫してあるなと感じるけれど、やはり作家が小説仕立てで描く化粧品をめぐるささやかな物語には説得力があった。ランコムのマスカラ。いつか使ってみたいものだな、と私はその時思った。

2週ほど前、7年ぶりに中1の頃からの友人たちと、東京で再会した。中学入学当初から悪友っぷりを発揮したり、けんかしたり、話さなくなったりしながらもある時突然意気投合、受験期間をなんとか支え合って乗り越えた私たち。現在までも連絡はほとんど毎日取り合うし、それぞれとこまめに会うことはあってもちゃんと時間をとって会うのは7年ぶりのこと。そのために東京へ新潟そして青森から集まってきた。

そんな話をした。場所はデパートの化粧品売り場に設けられた小さな椅子、髪の毛はピンで留められ、目の前には小顔で華奢な化粧品売り場のお姉さん。

私たちはときたま突拍子もない企画を思いついて実行したりする。今回もそうだった。「せっかく東京で会うんだし、7年ぶりだし、大人っぽく過ごしたくない?」「それなら、メイクしてもらいたいね」そういえば母に連れられてデパートに行った時も、「娘さんも試されますか」とアイシャドウをつけてもらったことがあったな。

プロの手の力で顔色が変わる。表情が変わる。鏡越しに実感したし、友人の顔を見ていてもその変化に驚いた。客観的に見た肌の特徴なんかも教えてもらったりした。記念として、ほしかったものだから、ときめいたから、と結局全員一品ずつ選んでデパートをあとにした。

「私たちちょっと大人っぽくなったね」「今日のお肌は◯◯製だね」なんてにやにやしていたけれど、すごいのはそのあとだった。

「なんか最近きれいになった?って友達に言われたんだよね〜」とある日、片方の友人が連絡してきた。彼女はリップを買ってた。そして私も私なりに大人について考えて、川上未映子さんの文章を読んで、友人と再会したときにちょっと大人っぽくなる経験をして、それらがリンクしあって「マスカラ、新調しよう。」と思ったのだ。あの時の経験が、その時限りではなくて今にも生きている。再会できたこともじゅうぶん嬉しかったけれど、その満足感だけじゃない何かをお土産にできた。

そんなこんなで私のお化粧を手伝ってくれることになったランコムのマスカラはよく伸びる。まつげ一本一本にスポットライトを当てていくような、そんな感覚でまつげの存在感が強まっていく。(どうにかこのマスカラの魅力を言葉で説明できたら…と思うけれど川上未映子さんのようにはいかない)

マスカラでまつげの存在感が生まれると、目の存在感が生まれる。目の存在感が生まれると、なんだか新しい1日って感じがする。

パソコンでレポートを書くとき、まずは名前をつけて保存する。途中からまた書き出したり、読み返して直したあとは上書き保存をする。ベースメイクとポイントメイクをするときのような感覚だ。「新しいドキュメント」と名付けられた白紙から、文字がひしめき合うレポートへ。そして、すっぴんからお出かけの顔へ。誰かが行う過程を見る機会が少ない分、ちょっと似てるのかも。

どんなにいい化粧品を使っても、その力を信じなければ効果なんてない、というようなことを著書で著していたのは様々な女性雑誌のコラムで名前を目にする斎藤薫さんだ。自身もあらゆる化粧品を試し、また多くの女性の姿を見てきた斎藤さんは、化粧品の効果を最大限に生かすにはその化粧品が持つ力を信じることだと述べている。

きたるべき20代への準備として、いつもよりちょっといいマスカラを使う。背伸びしたことをしているかもしれない。でもこれからの毎日「今日も私と一緒に素敵な1日にしようね」と、マスカラにお願いしよう。