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カントリーガールよ、ロンドンだ!

「1年じゅうこんな気候だったらいいのにね」と隣で祖母が目を細めます。暑くも寒くもない、薄手の長袖1枚で日中を過ごし、日が暮れたら羽織りものをまとう。夕食の後に渋い色の皿に乗った梨はみずみずしくて甘く、からすがさみしそうに鳴き、眠る前には音楽を消して虫の声を聴く…

日本に帰ってきました。

旅は身軽であることに越したことはない…とはいえ、思い出をいっぱい詰め込んだスーツケースが重いのは仕方ないはず!ということで空港でもとうとう「あなたの荷物は重すぎます」と言われてしまったり、スーツケースから移してきた重い手荷物を抱えて道に迷ったりと、なかなか珍道中な出発でした。

午後早い時間に出発した帰りの飛行機では日本で観そびれた映画「インサイド・ヘッド」(原題はインサイド・アウト)と、映画館での感動をまた味わうために「シンデレラ」を楽しみました。空の旅にディズニーの映画はなかなか似合うなぁ…

そんなこんなで窓の外に視線を移すと見えるのは地上で見るよりハッキリ見える月

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機体の翼にも月光が映っているのが見えませんか?誰もいない浜辺でのんびり日の入りを眺めているようなふしぎな気分。

機内でワインが飲める…と聞いて久しぶりに飲んでいたら眠くなってしまって、いつの間にかフライト残り時間もあと少し。名残惜しいような、早く日本の空気を吸いたいような複雑な気持ちになりました。

機体の車輪が地上に触れて走り出すと「着いたんだな」とほっとしました。飛行機を出てゲートから空港内に進むと、もわぁ〜っと湿った空気とあたたかさが私を包みます。

なかなかスーツケースが見つからず、立ち止まっていると検査犬に5回もくんくんと匂いを嗅がれてしまったけれど、無事に成田エクスプレスに乗って東京駅、新幹線に乗って新潟駅を目指すことができました。(成田エクスプレスの切符を買うとき、慌てて10円玉そっくりのイギリスの小銭「2ペンス」を出してしまったようで、恥ずかしかったです)

次々に現れる家の形、田んぼや商店街、ビルやトンネル…「帰ってきたんだな」と列車が進む毎に実感します。

夢みたいだった、とにかく毎日歩きつづけた9月。終わってみると長かったような短かったような…それでも日本には1日でまた慣れてしまいました。多国籍の国らしく多国籍料理も楽しんできた1か月だったけれど、実家で食べる和食がやっぱり一番落ち着く…なんて言ったら「そりゃそうだ、日本人だものね」と家族に笑われました。

オックスフォードからロンドンへ帰るバスの中でアオイが言ったこと、「ロンドンで過ごしたことは、今のところ人生の半分を占めるような思い出になってるかも」。iPhoneのカメラロールも一気に枚数が増えたそうです。

私もこのロンドンで過ごした日々は、怖かったことも楽しかったことも引っくるめてきっとこれからの人生でいつ振り返っても大切な1ページとして心に残り続けるでしょう。

もともと考えごとをしがちで(考えごと大好きなのかも?)グルグルとものを考えているうちに行動するタイミングが過ぎている…ということがよくある私でした。「考えても答えが出ないことは、遠い地でゆっくり答えを出そう」「暑さと慌しさにかまけて読み進められなかった1冊は、遠い地でゆっくりページをめくろう」なんて思っていたけれど、次々とやってくるバスや地下鉄に乗っているうちにいつしか、考えるに足らないことはそのままに、日本から持ち込んだ1冊は部屋の棚のインテリアになっていきました。

それでよかったのかもしれません。
ロンドンでやるべきこと、「今を楽しむ」。これを遂行出来たことだけでじゅうぶんでした。

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…この旅の日記はこれでおしまいだけど、これから「留学のために持って行ってよかったもの」「気をつけたいこと」なんかを書いてみたいと思ってます。

それからこのブログをはじめてから初めて、長い期間日記にカテゴライズされるような記事を綴ってきました。いつもはどんな物語も語れるようにと「…だ、…である」なスタイルで本の感想なんかを書いてきましたが、たまにはこうやって日記を書くのも楽しいなと思いました。


POPEYE(ポパイ) 2015年 10月号 [雑誌]

POPEYE(ポパイ) 2015年 10月号 [雑誌]


最後に、今日のタイトルは、発売中のpopeye10月号「シティボーイよ、ロンドンだ!」をもじらせていただきました。私がロンドンにいる間に発売になってしまって残念だったのですが、帰ってきてから手に取ってみても「そうそう、バスの停車ボタンの音って可愛いんだよね!」「うそ…あの駅を降りたらこんなにステキな店があったなんて」と楽しめます。若い男性目線でガイドされているこの1冊はおすすめです。