最後の「またどうぞ」が聞こえる

いつものように自動ドアを通ろうと、ガラス越しに店内をのぞく。いつも置いてあった香水がない。

いつものように「何の雑誌が置いてあるかな〜」と雑誌棚にちらりと目をやる。ぎっしり敷きつめられていた雑誌がすっからかんだ。

アイスもない、
飲みものもない。
あったらあったで半額だ。

さすがに違和感を感じて店内の上のほうに目をやると、「当店は12/10で閉店します」と貼り紙があった。行きつけのコンビニ。

目を惹かせるために、4枚以上にも渡った紙を組み合わせて作られたその貼り紙の文字はパソコンのワードで書かれたもの。でもその下に小さな字の手書きで、「学生さん、常連のお客さんありがとうございました」とあった。

とりあえず何か…と栄養ドリンクを手にとってレジに並ぶといつも接客してくれるおじさんがいつもと変わらない笑顔でそこにいた。

ファミマもドトールもよく利用するのにTポイントカードをずっと作っていなくて、ことしここで作ってもらったんだった。48グループのキャンペーンをしていて、そのおじさんは丁寧に「AKB、SKE、NMB、あ、HKTもありますな。どのグループのカードがいいかな」とたずねてくれた。次回以降そのカードで会計するのはちょっと恥ずかしかった。

くたくたに疲れてお腹も空いて、ファミチキを買って帰ろうと夜遅くに寄ったことがある。肉まんやおでんはもう売り切れていたけれど、ファミチキだけが1つだけ、私を待っていた。そう思ったのに前にいた人がそのファミチキを買ってしまったことがあった。

「あの…ファミチキを買いに来たんですが、もう売り切れてしまいましたよね」と言うと「7分くらい待っててくれるかな?大丈夫なら、揚げたてのホカホカをあげるよ」とおじさん。もうそのへんを片付けたかっただろうに、ホカホカのファミチキを作ってくれた。

あたたかい思い出がいくつもあるコンビニだった。

「閉店してしまうんですね」
「そうなんですよ。」
「ありがとうございました」
「ありがとうございました、またどうぞ」

最後のまたどうぞ、かー。

コンビニもそうだし、ショッピングモール内のお店なんかも突然なくなる。前に訪れたときは普通に営業していたのに…物心つく前から母とよく買い物して、「はじめてのおつかい」でもお世話になった近所のスーパーがなくなったときもそうだった。いつもさみしかった。

この感覚には慣れたくないな、と思う。