12年間続けてきた習慣をやめた話

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湯船に浸かっていてふと思い出した。
そういえば私、今まで生きてきた人生の半分以上続けてきた習慣をやめてしまったな、と。

小学2年生の頃から
まるで二股をかけつつ
交際相手を途切らさないように
するかのように、
毎月雑誌を買い続けてきたのだ。

8歳のとき、放課後遊んでいた友人が「ちゃお」の話をしていた。友人の家で読ませてもらって、続きが気になって次号から毎月買うようになった。ミルモでポン、ビューティーポップ、きらりんレボリューション、シンデレラコレクション…今でもときどき当時の連載作品の名前をあげては大学の友人と盛り上がったりしてる。私は「ちゃお」派だったけど、みんな少女漫画を読んで大きくなったのだ。ふろくもいつも豪華で、ペンや香水はもったいなくてなかなか使えなかった。

雑誌はどんどん値上げしていく。「新春スペシャル号」と称していつもより数十円高いと思ったら、またまた次の号も同じ値段だった。「ちゃお」用にお小遣いをもらっていたので、そのお釣りで駄菓子が買えなくなったのが不満だった。ここから私の雑誌浮気症が始まる。

「メロン」という中学生雑誌があった。初めて見かけたのは誌面で活躍するモデルとWaTの2人が仲よさそうに笑っている表紙の号。ちゃおよりも安くて、オシャレの情報が満載だった。なにより小学校4年生になろうとしている私にとって、中学生というひとつ上の世界にとても惹かれたのだ。

たしかバレンタインの号だった。手作りチョコの作り方やラッピングの方法、ヘアアレンジ…「中学生って楽しそう」と思ったのだ。そのあとお姉ちゃんがいる周りの子も中学生雑誌を読みだして、私は「ラブベリー」や「ピチレモン」を買うようになった。中学生は、学年ごとに制服の着方が変わることをそこで初めて知った。懸賞で原宿の竹下通りで売っているブレスレットが当選したのもよい思い出だ。いつしか少女漫画を読まなくなった。

小学校も高学年になると、また新しい風が私の中に吹いた。「イケてる女子中学生のための」というコンセプトの「ハナチュー」を読むようになった。ちょっとギャルっぽい、クラスの中心にいるような女の子たちがたくさん載っていた。かっこよくて大いに影響を受けたが私はまだ小学生だ。「休み時間に回す手紙のデコり方」「通学カバンの中身特集」ちょっとワルくて気に入った。当時中学生にして「ハチミツとクローバー」で大学生役を演じていた成海璃子さん、いま引っ張りだこな土屋太鳳さんもレギュラーモデルとして誌面に登場していた。

メロンもラブベリーハナチューも休刊してしまった。当時から1番中学生に読まれていたと思われるのはやっぱり「ニコラ」だった。周りの子も読んでいたし、私もときどき買っていた。小学6年生ころになると小学生向けのニコラでいまの小学生用雑誌のパイオニア的存在な「ニコ☆プチ」という雑誌が出始めたが、中学生雑誌にすでに慣れてしまった私には物足りなかった。

そしていざ中学生になってみると…「ハナチュー」を読んでいたものの、思い描いていた中学生活とはなんだか別の世界に思えてきた。1年生の夏休みに書店で手にとったファッション雑誌「CUTIE」を読みはじめた。田中里奈さんや青柳文子さんといった読モの存在もここで知る。誌面には大学生のスナップがたくさん載っていて、服装やバラエティの特集も落ち着いていた。表紙を飾っているのも蒼井優さん、宮崎あおいさん、堀北真希さんなどだった。

ギャルへの憧れはなかなか捨て切れなかったけれど、髪を切ってさっぱりとしたら中学生雑誌も買わなくなってしまった。(バレンタイン前の美容特集が面白くて、ニコラだけは1年に1回程度買っていた。この話題も大学生になったいま、友人と盛り上がっている)

髪の毛を切った次の日書店で見かけたのは、今では珍しくなくなったもののそのころは珍しかったミニサイズの雑誌「ELLE girl」だ。毎号海外セレブが表紙を飾るが、中身はゴシップ特集ではなくてファッション、カルチャー、グルメなどとなかなか興味のあるところをくすぐってくるもの。"only! ¥380"というチープさにも惹かれ、それから何年も何年もずっと読み続けることになる。

ナデシコ」というスナップに特化した雑誌もあった。「CUTIE」は買い始めてしばらくすると、大学生向けから高校生でも楽しめる雰囲気に変わっていった。

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中学校2年生になり、次に読みはじめたのは「Zipper」だ。髪の毛をボブヘアにしたらギャル感も全然なくなり、求める服装にも変化がでる。「Zipper」は男ウケを気にしないで自分のしたいファッションをやるというコンセプトが気に入って読んでいた。表紙によく登場していたのは木村カエラさん。大好きで画像をたくさん持っていたから嬉しかった。夏休みの原宿特集を読み込んで東京に遊びに行ったりした。

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高校生になると、母の私に着せたい服と私の着たい服の趣味が似てきた。高校2年生の終わりから、一緒に読もうと思って買い始めたのが「美人百花」だ。この雑誌のターゲットは25歳くらい。どんどん飛び級してきてしまったことを改めて実感する。ここでも「有名人のかばんの中身」がおもしろく(読み返したら壇蜜さん、木村文乃さんが載ってた)、ファッションの着まわしダイアリーのページもかなり参考になっていた。高校生のころは48系のアイドルが大好きで、みるきーまゆゆ、まいやんが表紙に登場していたとても可愛い雑誌「LARME」もよく読んでいた。

浮気に浮気を重ね、いつしか何も買い続けなくなっていたものの「ELLE girl」だけは隔月発刊ということもあり、ゆるゆると読み続けていた。あまりiPhoneを持っている人がいなかった2009年にすでに、海外セレブがいち早く手にしているということでセレブおすすめのアプリの特集があった。読者変身特集も面白かった。切り抜いてノートに貼り付けたいようなすてきな写真もいっぱいあったけれど、きりぬくのがもったいなくて躊躇っていた。

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高校3年生の終わり、受験シーズンで登校する機会もなくなってきたころに出会ったのは「25ans」だ。当時毎日観ていた朝ドラ「ごちそうさん」の夫婦が表紙になるということで、杏さんと東出昌大さんの号がほしくて書店に行った。この雑誌の表紙を毎号飾っているのは杏さんで、連載も持っているということでこの後しばらく買い続けることになる。表紙が杏さんでなくなり買うのを一旦やめてしまったが、ちょっとセレブな大人の女性向けで、載っている服も暮らしぶりも参考にするには高額すぎるのに、連載されている文章や載っているアイテムについているコメントに品があって好きだった。

25ans」を買わなくなってもずっと読み続けていた「ELLE girl」だったが、夏休みが終わったころつい買うのを忘れてしまっていた。コンビニで1冊だけあったのを見かけとき、表紙が森星さんだったことを覚えている。8年間買い続けて表紙が海外セレブでなくなったことが新鮮だった。そのとき持ち合わせがなくて、次に見かけたらと思っていたら新しい号が出てしまったのだ。表紙はスヌーピーだった。

1度買い忘れてしまうとなんとなく、また忘れてしまって…雑誌から雑誌へと、浮気を繰り返しながら過ごしてきたがついにその習慣が終わってしまった、ということだ。

もともと雑誌が好きで、何かを購読しているあいだもいろいろな雑誌を読んできた。今でも書店で見かけてビビッときた雑誌を、ターゲット層にこだわらずに買っている。

自分のなかでそんなに大きいことだとは思っていなかったのに、昨晩湯船でたいそう大きいことだったのだと気づいてしまったのだ。