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「オケ老人!」

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のだめ以来の「ハマる」音楽物語!

自室に積み上げられた読後の本を整理していたら、ブログで紹介しそびれていた一冊を発見した。

荒木源著『オケ老人!』
平均年齢おそらく世界最高齢のアマ・オーケストラ「梅が岡交響楽団」(略称・梅響)に、高校教師・中島は間違えて入団してしまう。彼は、演奏も覚束ない「オケ老人」たちのなかで勿論一番若く、力も備わっていると目され、指揮者になってくれと皆から懇願される。その後、彼が門を叩きたかった同じ町にある人気アマオケ「梅が岡フィルハーモニー」(略称・梅フィル)との確執、梅フィルの怜悧で、完璧主義のコンマス・大沢が熱望するロシアの人気指揮者ゴルゴンスキーの来日騒動などを経て、日本・ロシアの国家機密の情報漏洩にまで話は大きく展開していくがー。(あらすじより)

この本に出会ったのはまたもや「映画化」のお知らせを聞いたときである。ネットを見ていたら「杏が初主演!」という見出しを見つけて、たどりついた。

老人だらけのアマチュアオーケストラに間違えてヴァイオリンを手にして入団してしまった教師の中島…なんともおかしな設定で、しかも指揮者も任されてしまう!毎週火曜日にヴァイオリンと指揮の授業を受けている私にとって、ビビッとくる一冊なのであった。

見るからに「だめだめ」なアマオケが成長していく姿…「のだめ」のSオケを思わせるようなストーリーがふたたび私を楽しませてくれた。

「親父にもよく同じように言われるんです。みんな才能を欲しがっているんだ。持っているのにそれを磨こうとしないのは怠慢だ。お前は上手くなることから逃げているんだって」
「あの国(日本)には何でもあると思ってるかもしれん。だがな、本気でやらないといけないことはひとつもないんだ」

主人公中島率いる(ようになる)梅響との確執が深くなってゆく梅フィルは「のだめ」のAオケのようでもありそうでもないような。

聴く側にもテクニックが必要なのだ。そのための訓練も積まなければならない。だが耳を持った人は、そこに演奏する者の喜びや怒りや悲しみ、哲学やものの考え方、その人が生きてきた歴史を聞き取るだろう。つまるところ人生そのものが音楽の中に響きあっている。
音楽の素晴らしさとともに、それと向き合うことの難しさも書かれている。

2人以上の演奏者がいれば、比べられてしまう。フィギュアスケートもそうだけれど、芸術だって点数がつけられ順位を決められてしまうときがある。一度本気になってしまったら、そういうことの連続だとも思えてしまう。

それでも根本には「音を楽しむ」音楽そのものがあることを、この「オケ老人」たちが気付かせてくれた。

昨年の今頃、お年寄りがピアノを習うドキュメント映像を観た。介護に追われながら、自由がきかない指と向き合いながら、彼らは必死でピアノと向き合っていた。親族が集まる発表会では終始和気あいあいとした雰囲気につつまれていた。私はそれを観て、「うらやましいな」と思ったのだ。本当に楽しそうだったから。

そんなこともあって昨年1年私はいままでともに歩いてきた音楽から「ちょっと立ち止まって」いたのだが、年末にこの一冊に出会って純粋に楽器をまた奏でてみたくなった。

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映画は秋頃公開なんだそうだ。
原作では主人公の高校教師は男性の設定だったが、主演は杏さんということで女性が主人公の物語になる。その時点で映画は原作とまた違った雰囲気になることが予想されるが、楽しみが膨らむ。


オケ老人! (小学館文庫)

オケ老人! (小学館文庫)