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いっぱいねなさい

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テスト期間になると
異様に睡眠時間がほしくなる。

時間がないときほど眠りたい。

「ねている暇があったら勉強しなさい」
まわりの大人たちに言われがちな中で、
テスト期間になるとふと
「いっぱいねなさい」と
言ってくれた人を思い出す。

小学生の頃、交換ノートが流行っていた。
いくつも掛け持つ子がいたり、
忘れんぼうな子がいたりして
なかなかあれは最後の寄せ書きまで
うまらないものだった。

最後に覚えている「終わらせた交換ノート」
は、高校1年生のときのものだった。

仲良くしていた友人と、高校にあがるころ
中学校の頃よりも部活がいそがしくなって
クラスも離れてしまって
あんまり今までのように話す時間もなく
スマホを持っているような時代でもなく
「アナログでいきますか」ということで
交換ノートをはじめたのだった。

小学生のころ愛用していたような、
A5サイズの各ページにかわいらしい挿絵や
「○○ランキング」「最近のニュース」
などの項目が書かれていたノートではなく
授業のノートと一見見まがうような
シンプルなふつうのノートを使うことにした。
ふたりの好きなピンク色の表紙だった。

その子はよく寝る子で、勉強ができた。
テスト前でも6時間半睡眠を徹底し、
7時間以上眠ることもあった。
その代わりぜったいに授業中は寝なかった。

私はその真似はできなかったので、
睡眠時間をけずって起きていては
授業中にうとうとする毎日を過ごした。

睡眠時間の少ない日が続くとあきらかに
気持ちも体も調子が悪くなってくる。
そんな私を心配して友人はページの最後に
「いっぱいねなさい」と
大きく書いて私に渡してくれた。

昼寝をするのも罪な気持ちよさだけれど
肯定された睡眠の安心感はすごい。

なんだ、睡眠の量くらい自分で決めようよ
と思われても、そういう時期だったのだ。

夏のころ、期末のレポートを徹夜で書き
完成した頃鳥の声とうっすら明るくなった
空を見てやけに感動したことを覚えている。

今はどこにいっても風邪の人がいる季節で
こんな季節に睡眠不足がつづくととくに
私は体調を崩しやすい、ということが
やっと分かるようになったので
家族の誰もが寝静まる前に眠ってしまう。
もっと頑張ったほうが
いいかなあという気持ちと
「いっぱいねなさい」と言われて
素直に「そうするぞ」という気持ちに
揺られながら、眠る。

隣で24時間眠り続ける白くまは
相変わらず私にふるい家屋で
何人かで住んでいる夢を見させる。
これが本当に不思議なのだ。