ライチ☆光クラブ

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映画「ライチ☆光クラブ」、本日公開!!
舞台俳優好きの友人と約束していた。

きゃりーぱみゅぱみゅが高校生だった頃
私はブログや雑誌「KERA!」で
彼女の姿を見ていた。
そこに彼女とたびたび登場していたのが
九条ライチさんという読者モデル。

KERA!」らしい独特の装いとお化粧、
その名前の由来も気になって雑誌を読むと
「『ライチ☆光クラブ』という漫画が
好きなのでそれが名前の由来です」とある。

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漫画を調べてみると作画がレトロで
セーラー服の女の子が中学生心をくすぐる。
原作は読まないまま、映画公開を知り
公開日をむかえた。

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廃れ切った貧しい街、蛍光町…
そこにある廃墟に集う9人の中学生たち。
廃墟は秘密基地で、その名前は「光クラブ」。
学生服を着た彼らにとって大人とは
穢らわしいものであり、認められないもの。

敬礼やドイツ語を用いて、
光クラブ」は彼らのうちのひとり
カリスマ性のある「ゼラ」という少年の
定めた規律に従い、活動している。

大人を否定し自分たちの世界を作ろうと
彼らは巨大なロボットを作っていた。
ロボットは「ライチ」と名付けられ、
名前と同じ果実を燃料として動く。
光クラブに希望をもたらす存在
「美しい少女」を捕獲するために作られた。

「ライチ」が連れてきたセーラー服の少女に
ゼラは「少女一号」と名付ける。

基地、ロボット、少女が揃った「光クラブ
だが、彼らの中でゼラの過激な思想に
疑問を抱く者が現れ、裏切り者探しに
発展するうちに規律が乱れ始める…
また、彼らによって作られた「ライチ」も
「カノン」と名乗る少女一号と心を通わせ
「ライチ」はゼラの命令と
カノンの人間らしい心の間で揺れる…

ゼラの14歳の誕生日が刻々と近づいていた。大人になってしまう寸前の時。果たして、少年が願う大人のいない永遠の美の王国は実現するのか……。(映画公式ページのあらすじより)

光クラブ」には、
守るべき「十箇条」があった。

1、美は願望ではない 美とは真理である
だから、美しい少女を必要としたのかな。

2、我が世界において不幸は存在しない
    誤りや欠落があるだけだ
大人を穢れたものとした光クラブのメンバー。
大人になることを不幸だと思うから、
誤り・欠落に置き換えてこれを定義したか。

3、光クラブで争いが生じたときは
    メカニズムの解消につとめよ
光クラブはチェスで遊んでいた。
チェスの駒の進め方に感情があらわれる。

4、どんな知恵もすべて冷たい
    だから知恵を信じよ
冷たいもの=固まった、しっかりしたもの
だから知恵を頼もしいと思ったのか。

5、感情に働きかけないもの「数字」は
    もっとも純粋なものである
4、に同じく数字は明瞭で無駄がない。

6、体の成長は罪ではない
    大人になるまで生きることが罪なのだ
これは原作でゼラが幼少時代に占い師に
14歳で死ぬか、30歳で世界を手に入れると
聞かされて信じていることからかも。

7、永遠は存在しない 光クラブも例外ではない
    しかし唯一の光である
光クラブも、そして連れてこられた少女も
ともに廃れた町の「光」であった。

8、愛という言葉を使用すべきではない
    友情もこれに同じである
しかし、「光クラブ」とはもともと
ゼラが作ったものではなかった。
友情のもとに出来上がった小さなグループ。

9、己をチェスの駒に見立てよ
    それに反して動くことはルールに反する
3、に同じくチェスの駒のように進むことは
光クラブにおいて正しいことであった。
ルールに反した者は処刑されて殺される。

10、我は光クラブの一員である
    この福音を毎日唱えよ 言葉は行為である
会社の朝礼で社員一同が社訓を唱えるように
彼らもまた、彼らの社会で「十箇条」を唱え
その中で生きているのだ。


中学生という思春期の不安定さ、
なにか大きなものに巻かれていないと不安で
間違った道に魅力や逃げ道を感じてしまう。
反発することもおぼえる。
自ら定めたこと、また決めごとに囚われ、
変容していくことにあらがえないでいる。
異性に対して尊いと思い、近付きたいのと
近付いてはいけない間で揺れる。
大人になることに恐怖をおぼえる。
その恐怖がまた屈折した強力な何かを生む…

かたちは大きく違っても
もう通り過ぎてしまった人生の一部を
振り返るような、
「中二」要素もたっぷり盛り込まれていて
ちょっと気恥ずかしいような、で
不思議な気持ちで観ていた。

たしかに自分の中でルールを定めていないと
ふとしたときに思いがけず
誤った道に行ってしまうかもしれない…
不安になるのが思春期なんだと思う。
でもそれを自分の中にとどめずに、
カリスマ性を駆使してまわりに共有(強要)
したのがゼラだった。

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大人のいない、
永遠の美の王国はどこにあるのか。
映画のラストまで見届けて少しだけわかる。

こういう雰囲気の映画を観るのは初めてで
途中で顔を手で覆ってしまう場面も
いくらかあったけれど、
14歳のころに戻って光クラブの彼らと
気持ちを共有した2時間が貴重だった。

個人的に、友人が楽しみにしてきた
松田凌さん演じる「雷蔵」が気に入った。
シリアスな雰囲気が漂う作品中で
男性陣で一番美しくてオネエ言葉な雷蔵
とても癒された。

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映画「ライチ☆光クラブ」はまだまだ
公開されたばかり。
三寒四温の中、これから来る春を待ちながら、
耽美な世界を楽しむ時間はいかがですか?


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