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なつかしさの基準

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最近思い出したように
映画を沢山観ているけれど、
短調の曲が好きな私は
ついつい惹かれる映画も
ちょっと煮え切らないラストのものを
選んでしまいがちだった。

久しぶりに感動が約束されていそうな
映画を探そうと思って、
パッケージになってる写真の
笑顔がすてきな『アバウト・タイム』を
選んでレンタルビデオ屋のレジに並んだ。

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主人公のティムは、21歳を迎えたとき
彼の父親に「お前はタイムトラベルができる」
ということを聞かされる。
「タイムトラベルができたらどうしたい?」「お金持ちになりたい!」
「それはおすすめしないな」
「それじゃあ、彼女が欲しいよ!!」

タイムトラベルができるといっても行けるのは過去だけで、未来には行けない。
彼は自身や彼の周りの人を幸せにしようと
タイムトラベルを重ねていく……


タイムトラベルできる人、と聞けば日本人は「時をかける少女」を連想すると思う。私もそうだった。甘くて切ないラストが待っているのだろうか……と序盤からどきどきした。

ティムがタイムトラベルを駆使して生涯のパートナー・メアリーに出会ったとき、「2人の幸せが続きますように」と私は願った。

ねたばれになるといけないのであまり詳しくは書かないけれど、『アバウト・タイム いとおしい時間について』のそのタイトルのとおり、一分一秒を確実に生きていくことを愛おしいと思える映画だった。


そして私はストーリーが進むにつれてタイムトラベルを重ねるティムの姿を見て、私にもしタイムトラベルができる能力があったらどう使うだろうかと考えていた。

意外にも私は、こわくて使いたくないな、と思った。別冊ではなくて巻末に答えが載っているドリルの、その巻末のページをおそるおそる見ながら問題を解いている気分になってしまいそうだ。

親しくなった人が親しくなった途端に遠くに行ってしまう……ということが幼い頃からよくあったので、もう会えなくなった人といた時間に戻ってそのひとときを噛みしめるのはいいかもしれない。

きっと私はタイムトラベルを
うまく使えるかわからないから
こわいのだと思う。

ティムのお父さんが教えてくれた「幸せ
生きる秘訣」は、タイムトラベルができない私たちも参考にできることばかりだった。秋の次に、雨が続いたりしてちょっと気持ちがセンチメンタルになる日に観たい映画だ。


私の中でなつかしさの基準が最近変わった。

今までも数年前のことを口先では「なつかしい~」なんてよく言っていたけれど、(といっても数年前だもんね)と思っていた。

だからなつかしいのは幼稚園の頃や小学校の低学年の頃のことだと思っていた。

でも、「涼宮ハルヒ」のアニメがもう10年前だとか、ということは私が小学生だったのは10年前だということとか、それから「10年ひと昔」という父の言葉が妙に頭にこびりついていたことがあってだんだんなつかしさの基準が歳上になってきた。

髪をおかっぱにしたことも懐かしいし、珍しい曲をたくさん聴きたいと思ったことも懐かしい。そのときはいやだなと思っていた退屈な学校も、きっとおもしろかった。


今のこの21歳の生活は、
いつ懐かしくなるんだろう。
その時の私に今のことを聞いてみたい。