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香水を久しぶりにつけた日に

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肌ざわりの良い布が心地よい季節になった。

夏のあいだ煩わしいと思っていたものこそ

この季節になるととたんに

愛おしく感じられるようになってくる。

 

香りというのもそのひとつで、夏休みの間は楽しむ余裕がとにかくなかった。そればかりでない。道に咲いているいい香りのする花を見て立ち止まることもなかったように思う。

 

それでも香りというのは不思議なもので、種類によって纏うと違った気持ちになれる。

 

21歳の蒼い時 - 謎の国のありす

 

以前読んだ山口百恵さんの「蒼い時」には、着る服によって気分がすっかり変わってしまうのだと、モモエちゃんの言葉で書いてあった。黒い服は落ち着く。ちょっと大人びたワンピースを纏えば、それなりに色気が出る。オーバーオールを着てしまうと、子供のような気分になる。裁判の時は、なりたい自分に合わせた装いで臨んだのだという。

 

 

夏の間はどうせすぐに香りが取れてしまうから、とフレグランススプレーのようなものばかり愛用していた。いわゆる「パフューム」はその間、スプレーの後ろでジッと息をひそめていたのである。

 

昨日突然、なんだか夕方から涼しくなってきたような気がして、ふと香りがほしくなった。

 

叔母から私に似合いそうだといって贈られた香水をシュシュッとつけてみた。とたんに暑くはない季節のことが少しずつ思い出させられる。

 

外に出てバスに乗り、香りを確認した。つけたての時と少し印象が変わってくる。やっぱり香水って、時間とともに香りが柔らかく変化していくものなんだ。私はミドルノートの香りが特に好きみたいだった。

 

歩いた道からも花のいい香りがした。

木曜日の日没あたりの往来はやけに爽やか。

 

なるべく季節を感じて過ごしたいと思って生きてきたけれど、私はやっぱり秋が一番好きな季節なのかもしれないな、と思う。