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世界が遠い夜

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小学生の頃までは、私にとって部屋の中では

ラジカセ付きのCDプレイヤーだけが

世界とリアルタイムでつながれる

貴重なアイテムだった。

 

ラジオのスイッチをオンにするのは、

リアルタイムの世界をキャッチする合図。

 

最新の音楽、楽しいおしゃべりが届く。

孤独な気持ちを感じたら

スイッチをオンにしたものだった。

オフならオフで、それも落ち着いた。

 

今はどうだろう。

使い古したガラケーiPod

設定によってWiFiが使えるiPodiPad

ICレコーダーにもラジオは付いているし、

スマホにパソコンも部屋にはある。

 

小学生の頃に無音の中で感じた孤独は

もう私の部屋にはなくなった。

代わりに別の意味での孤独とかさみしさとか

そういったものが端末を通して届けられる。

 

枕元の時計が壊れてしまったので

ここ数年はずっとiPhoneのアラーム機能に

頼りきって朝、起きている。

 

きのう、翌朝は早く起きる必要がないんだ…

ということを思い出して、とても久しぶりに

iPhoneのアラーム機能を使わないでみた。

枕元にiPhoneをいつも置いていたけれど

それもなし。ベッドに持ち込まなかった。

 

代わりに眠たくなるまで

文庫本を読むことにして、

端末を見ないで私は眠りについた。

 

世界が遠い夜だった。

文庫本に入っている物語は

はるか数十年前の時代のものだ。

眠りについて、火事の夢をなぜかみた。

小学生の頃に毎日感じていた孤独、

それも「いい」孤独の気持ちがまた

一夜にして蘇ってきていい夜だった。