夜は短し歩けよ乙女
森見登美彦さんの書く京都の世界が好きで、
高校生の頃「四畳半神話大系」を読んだ。
「〜見聞録」も読んで、次は
「夜は短し歩けよ乙女」だなと思った。
大学1年になって読んでたんだけど、
「黒髪の乙女」の行動と思考がなかなか
破天荒なので、主人公の「先輩」と一緒に
何度も彼女を見失ってしまいながら読んだ。
結果、ものすごく時間がかかった。
「なぜかなかなか読み終わらない本」について
いつか、大学の友人と語ったことがある。
「私は…夜は短し歩けよ乙女かな」
「え、それ私も」「俺も」
みたいな会話になったことを覚えている。
あれからみんな読んだのかな。私は読んだよ。
読んだ感想は、
「なんだかわからんけどとってもすっきり」
という曖昧なものだった。
アニメで映画化されることになって、
私は森見登美彦さんの本の表紙絵を書く
中村佑介さんの絵が好きだったこともあり
とっても楽しみにしていたのだった。
中村佑介さんの絵は、
CDジャケットでもお馴染みで、
画集を借りて眺めていた思い出がある。
映画の主題歌もアジカン。
まさに中村佑介さんの絵がつないだ
すてきなコラボなのだった。
春からナビゲーターをしているラジオ番組で
主題歌をリクエストしてくださった方がいて
うっかり公開日を忘れていた私に
「公開日は、お!おとといですね〜」と
気付かせてくれたので、感謝しています。
主題歌を聴いてみて、ますます観たくなった。
さえない大学生「先輩」を演じる星野源さんも
好奇心旺盛で人当たりの良い
「黒髪の乙女」を演じる花澤香菜さんも
そして脇を固めるキャストの皆さんも
ぴたりとキャラクターに声がのっていて
クスクス笑ってばかりの時間だった。
「四畳半〜」のアニメは観たことがなくて
動く森見登美彦作品を観るのは
初めてだったけど、色づかいがよかった。
破天荒に思えたストーリーの流れも
映像で観るほうがなんだかすんなり入ってきて
映画を観にいく前に原作を読み返すことは
していなかったのに、映像を観ていて
「このエピソード、あったー!」と思える
場面がたくさんあって心地よい。
京都といえば、最近観た映画では
「ぼく明日」などでも舞台になっていたけれど
また違った雰囲気が楽しめる作品だった。
そして、ね、きっと映画に出てきていた
あるバーを見たとき、
これってもしかして行ったことある?
と心あたりのある場所も出てきてときめいた。
(東京にあるほうのお店だけれど)
そしてまた行きたくなったし、
京都と東京で映画とのコラボキャンペーンも
行われているようなので気になっている。
最近はなかなか映画をパッと見にいける
時期じゃないけれど、ぜひぜひ
気になる映画は時間を見つけて観に行きたい。
「先輩」の取り柄は
「できることをコツコツと」。
あせるなよ、と背中を
押してくれる作品でもあった。