毛の生えたモモ
あまりにもその感触がリアルだったからなんかいやだなと思って目覚めたら、サイレンの音が聞こえました。おそるおそる廊下に出てみると、窓から見える景色が青い光でチカチカしていました。
気味の悪いことが起こっても学校は始まります。
目覚めてトーストと紅茶の朝食を用意していると、ホストマザーが「明け方近所で大きな火事があったの」と話してくれました。「私も思わず目覚めちゃったわ」と言うと、「もう片付いたみたいだから大丈夫」だそう。
そうこうしているうちに出発しようと思ってた時間から15分も経っている!慌てて家を出ました。「Have a nice day!」背中にホストマザーの声が聞こえてきます。
最寄駅に着いたらまずしなければならないことは、オイスターカードに定期券の機能をつけること。自販機で手間取ったので窓口に行くと、申込書を書くように言われました。ホストファミリーの住所が書いてある紙はどこだっけ…ああ、電話番号!!あたふたしつつなんとか定期券が手に入りました。
初めて間近で見るロンドンの地下鉄。丸っこい形がかわいらしいですね。最初は地上を走っていたのでのんきにLINEなんかをしていましたが、徐々に電波も届かなくなっていき東京の地下鉄の電波の強さを実感しました。
乗り換えをしていざ語学学校の最寄駅「Holborn Station」へ!到着するとすでに学校が始まる10分前。学校のある場所は東京でいう代官山のようなところで、私はその都会的な雰囲気を味わうのを楽しみにしていました。が、今日はそんな余裕がない!!そのあとも学校まで3分で済むはずなのに迷い、Google mapと格闘してなんとか学校に着きました。
言葉が通じたら10倍は盛り上がれるのに、英語でとなるとなかなかそうはいきません。まわりに日本人も見あたらないし、午前の部が終わるころにはすっかりしょんぼりしてしまいました。
ロンドン留学経験済みの友人にもホストマザーにもオススメれていたスーパー「sainsbury」までトボトボと歩いてサンドイッチ、ぶどう、ミックスジュースをゲット。ぜんぶで3ポンドでした。「sainsbury」は食べものが安くて種類が豊富なお店です。語学学校の生徒らしき人もたくさん利用していました。
それでも午後は単語のおためし授業でペアになったペルー人の女の子と日本食の話題で盛り上がり(名前はサユリ)、午前に受けたクラス分けテストの結果も返ってきました。このテストはまるでセンター試験のようで、いままで忘れていた「forest」や「Nextage」なんかで見た構文をふと思い出したりしてちょっとおもしろいものでした。テストの結果、私は午前に授業のあるクラスになりました。
語学学校にはいくつかのコマの授業のほか、放課後に「アクティビティ」があることが多いです。アクティビティというのは生徒が任意で参加できる小さなイベントやツアーのことで、今日はさっそくテムズ川の上をボートで進みロンドンブリッジを見るという「ボートツアー」が開催されました。
旅行番組で観たテムズ川沿いを走る人たちの顔が生き生きしていたことが忘れられず、「ロンドン橋落ちた」で有名なロンドンブリッジも見たいし、アクティビティで友達ができたらいいなと思い参加することに。ホストファミリーにはメールで「夕飯に遅れちゃうかも」と連絡しました。
語学学校の生徒であれば、ロンドンのツアーや劇場などが格安で楽しめるそうで、ボートツアーもそのひとつでした。川沿いまで40分くらい歩いたけれど、景色はずっと美しくわくわくするものでした。
それから列になって歩いている時、なんとなく近くにいた男の人に話しかけたら日本人であることがわかり、日本語を聞いたのがとても久しぶりな感じがしてほっとしました。そのYutaはロンドンは2回目なんだそう。「初日はやっぱ疲れるよね!」とこっそり日本語で息抜きです。
テムズ川はなかなかのきたなさです。ブラウンウォーターでした。でも、向こう岸にロンドンアイが見えて嬉しかったです。
よく見ると、ロンドンアイそれぞれのパーツの下部はこのように世界の国旗になっています!日本の国旗もありました(^o^)
ロンドンアイのたもとにはメリーゴーランドや簡単な絶叫マシンのようなものもあり、みなとみらいを思い出しました。
ほかにもロンドンブリッジめざしたボートからはステキな建物がたくさん見えます。肝心なロンドンブリッジは…
ちょっと遠くから見てツアーはおわりになりました(笑)しかも現地解散になりました。うそーと拍子抜けし、まだまだ夕食の時間じゃないなぁと思いYutaにカムデンタウンのマーケットを案内してもらうことに。
ロンドンでは様々なマーケットが開催されます。場所によってファストフードが多く売られているところ、ヴィンテージ品が揃うところなどさまざまです。
この写真からは伝わりにくいかもしれませんが、ここカムデンタウンのマーケットはロンドンの原宿だとYutaは言います。
なるほど、ちょっと進んでみると原宿っぽいパロディーTシャツのお店やかわいい服のお店が。もうちょっと行ってみると、今度は下北沢の古着屋さんみたいな通りも出現!
特に奇抜だったのはこのお店!「へんなものやさん」という感じでした。
ものすごい内装です。暗闇の中、派手な音楽に合わせてもようが動く不思議なTシャツも置いてありました。
マーケットの、ケバブやバーガー屋に囲まれた女の子のオブジェと私です。
かわいらしい色合いの街並み。ロンドンの原宿が堪能できました。
雨も降ってきたし、いいにおいにお腹も鳴りそうです。Yutaも私もパブに目を惹かれたので、今度行こうと約束してふたたび地下鉄に乗りました。
そのあとひとりになり、地下鉄に乗っているとなにやら早口のアナウンスが聞こえ、乗り換え駅の手前でみんなが地下鉄から降りていきました!訳もわからずとりあえずついていくと、無人になった地下鉄が走って行ってしまいました…そこからその駅で1時間ほど足止めを食らい、その間に路線図を見ているとだいぶ遠回りの帰り道を選んでしまったことに気がつきました。
調べようにも地下だからwifiはとどかず、早口の英語はわからないし、予定していた帰りの時間は大幅に過ぎてゆくし、地下の空気に息はつまるしでなかなかつらい時間でした。
小雨のなかなんとか家にたどり着き、ホストファミリーの顔を見るとほっとしました。
「今日はどうだった?」
「楽しかったけどとっても疲れた!」
今日の夕食はチキンとポテトがメイン。ロンドンに来てからは夕食の味付けは薄めです。そのぶん素材そのままの味を楽しむことができていると思います。
今日のミスをあらかた説明すると、ホストファザーは「わたしだってよく間違えたさ」と励ましてくれ、ホストマザーは「気にしなくていいのよ」と。学校のことも、恥ずかしがらないでどんどんいってごらんと背中を押されました。
話しながら食べていると、デザートのフルーツが目に入ります。「これはなんですか?」「それはね、平たいモモだよ」
モモが丸ごと出てくるなんて見たことがなかったので「どうやって食べるのですか?」と聞いてみると、ホストファザーは皮ごと食べるそう。これが試してみるとモモから毛が生えていることを忘れるとなかなかいけるんですよ。
モモの皮にはビタミンがたっぷりつまっているそう。なんだか明日も頑張れそうです。