「ピンクとグレー」を観てきました

f:id:alicewithdinah:20160115143401j:image

ひとの頭の中は誰にもわからない。
だれかにだって、なれない。

おとといまでに原作を再び読み返して楽しみにしていた映画「ピンクとグレー」を観てきた。
人気俳優の白木蓮吾が急逝した。自殺か他殺かも判明しない中、彼の少年時代からの親友で死の瞬間にも立ち会った売れない俳優・河田大貴に世間の注目が集まるが……。(映画.comより)

NEWSの加藤シゲアキ原作、
Hey!Say!JUMPの中島裕翔主演。
主演を固めるのは菅田将暉夏帆
監督は行定勲


楽しみにする要素ばかりの映画。
しかし原作を知るかぎり底ぬけに明るい作品ではなかったので、口がさびしくならないように久しぶりにポップコーンを買ってみた。

f:id:alicewithdinah:20160115144519j:image
あ、これだ。
すべての粒にチェダーチーズかキャラメルがばっちりかかっていて、どちらかの味に飽きるひまもない美味しさだった。


さて、
原作と映画はべつものだ、と思った。
どちらにも良さがあった。

ただ、原作と映画では伝えたいことが違うなと思った。そりゃ作る人が違うんだもんな。

「ごっち」の人柄とか、原作ではだいじそうだった化学のエピソードがあまり出てこない映画だった。「スタンド・バイバイ・ミー」もなし。

(原作の感想はこちら)

物語の舞台は芸能界で、私たちこは全然べつの世界だと思ってしまうかもしれない。けれど、同じ方向を向きながらやってきた親友だけが成功していくもどかしさ、愛することを愛し遂げること、望まずともいつか人間には別れの瞬間が訪れてしまうこと…それらのことの儚さがリアルだった。
こんなことを書いていた。
ほんとうはここで強調して書きたかったことは熱い友情…「愛することを愛し遂げること」ということだったんだけど、これは映画の前半で完結していた気がする。

さて、後半は…
(キーワードは「62分後の衝撃」、ということで映画は宣伝されていた)

ここから小説と異なった映画らしさがでる。

先日成人式のあとの同窓会で先生から

「こんな人になりたい、こんな人生にしたい、などと理想の人間や人生を追いかける人がいる。けれど、生まれ持った個性は変えることができない。だから、その個性をぐんぐんのばして生かした人生を送りなさい。」
という話をいただいたけれど、
まさに「他の誰かにはなれない」ということがひしひしと伝わってくる作品だった。

同じ読者モデルとしてスタートして、「ごっち」と「りばちゃん」にキャリアの差が開いてきたのはなぜか…

「ごっち」はなぜ自殺をしたのか…

ポップコーンを噛み締めながら、
小説を読んで生まれた謎をもう一度嚙み砕く。
観ながらも考えに考える映画であった。

ジャニーズファンの友人に「中島裕翔しっかり見てきてね!」と言われていたし、脇を固める俳優陣の演技もしっかり観てくるつもりだった。中島裕翔のファンにとってつらいシーンがあるかもしれない。夏帆はなんの役をするんだろうと思っていたけれど、すごい人だなととにかく思った。

原作を読んでいるときにはあまり気に留めていなかったけれど、原作映画ともに「創作ダンス」をやっている人も楽しめる作品だと思う。

個人的にこの映画を観ていて浮かんだのは
ここで紹介した「あのひとは蜘蛛を潰せない」。原作を読み直す前、よく「お姉さん」がらみで2作品がごっちゃになっていた。

この手の「途中で衝撃が走るタイプの映画」の感想をこうやって書くのは難しいけれど、じっくり考えながら観たい映画だったのだ。

あのひとは蜘蛛を潰せない (新潮文庫)

あのひとは蜘蛛を潰せない (新潮文庫)