「エージェント・ウルトラ」
去年の9月、地下鉄の深さに
Wi-Fiの電波をうばわれて特にすることもなく、
ぼうっと窓の外を眺めていたとき…
パッと目に入ったのが、
駅のホームで見たこの映画の広告だった。
そうそう彼女はこんなふうに、
あぐらをかいてダルそうな顔をしていた。
髪の毛を片側によせているから、
左半分だけ見るとイケメンに見える。
右半分だけ見ると美女に見えるし。
右半分だけ見たところで、
「トワイライト」の人だ!と思い出した。
ジェシー・アイゼンバーグ主演の
「エージェント・ウルトラ」を観てきた。
(原題が American Ultra)
ロンドンの地下鉄のホームで観た広告と、
11月の東京で再会した。
「アデライン、100年目の恋」を観た時に
映画館で予告編を観たのだ。
あのときは映画よりもミュージカル!
と思っていたけれど、こんなに面白そうなら
観に行っとけばよかったと思った。
そして日本で観れることがわかって
嬉しかったのだ。
「アデライン」は新潟で演っていなかったから
新宿ピカデリーまで足を運んだけれど、
こっちは新潟で観れる映画館があった!
デッキィ401で観れちゃうじゃん!
公開が近付いてくるとTwitterの広告としても
映画の情報が流れるのが頻繁になって、
「ダメ男のコンビニバイトが覚醒?!」
という謳い文句がすっかり身に馴染んだ。
「スター・ウォーズ」の最新作も
「フォースの覚醒」だったもんね。
水曜日がレディースデイだということを
すっかり忘れていて、びっくりしたけれど
こんなにかわいらしいポップコーンと一緒に
あたたかいドリンクがおとくに楽しめる。
とても久しぶりに足を運んだこの映画館は
見ないうちにチケット売り場や売店の横に
バーカウンターみたいなすてきなスペースが
出来ていてわくわくした。
映画の前のわくわくも、
映画のあとの余韻もそこに座って楽しめる。
エスカレーターをのぼってスクリーンへ…
日々をのらりくらりと過ごしてきたダメ男のマイクは、恋人フィービーに最高のプロポーズをしようと決心するが、なかなかうまくいかない。そんなある日、アルバイト先のコンビニで店番をしていたところ、謎の暗号を聞かされたマイクは、眠っていた能力が覚醒。スプーン1本で2人の暴漢を倒してしまう。実はマイクは、CIAが極秘計画でトレーニングされたエージェントだった。マイクは、計画の封印を目論むCIAに命を狙われることになるが……。(映画.comより)
毎度のことながら、あらすじを書くのが
うまくいかないので引用した。
かんぺきなフィービーと、
おバカなマイクのカップルを見守る120分。
彼らの敵が突然銃を発射してくるのと、
マイクの覚醒っぷりにおどろいて
手元のポップコーンがたびたび進まない。
伏線の回収の仕方がかっこよくて爽快で、
勝手に「すごい」と思っていたけれど
すごいのはそこじゃなかった。
マイクの目的はいつでも、フィービーに
最高のプロポーズをすることだったのだ。
炎を背に指輪の箱を開けては
「今じゃないよなあ…」とつぶやく。
15禁ということもあり、
戦闘シーンはなかなかのグロさはあるけれど
お互いの目的が分かるから観ていられる。
クリステン・スチュワート演じるフィービーの
ちょっと低めの声と美貌も
ついついみとれてしまうけれど、
頼りなさげなヒロインが
本気を出す…という展開を観るのが
(「サムライ・ハイスクール」とかね)
もともと好きだからマイクにもグッとくる。
映画を彩る音楽も昔っぽくていい。
ふたりが暮らす部屋で、
「pua nami o hawaii」を流す
レコードがかかっている。
ねたばれを避けるために言えないけれど、
続編を期待してしまうラストだった。
ふたりにはいつまでも、
かんぺきとおバカでいてほしいと思う。
それも、愛すべきかんぺきとおバカで。