BREATH OF THE GODS

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2017年の初映画は、「シネ・ウインド」で。

 

昨年は数えたら、

新潟市民映画館「シネ・ウインド」で

4本の映画を観ていた。

山口小夜子さんのドキュメンタリーに

フランス語の授業ですすめられた

『最高の花婿』に、

ファストファッションの仕組みがわかる

『ザ・トゥルー・コスト』、

そして先月観た『黒い暴動♡』。

先月、「シネ・ウインド」で予告編を

観た時点で「2017年も沢山観るだろう」

ということを直感した。

 

だから今年は会員になって

「シネ・ウインド」の映画を楽しむことに。

 

会員証を作ってもらって、そのまま

観た映画は『聖なる呼吸』。

副題に『ヨガのルーツに出会う旅』、

原題は『breath of the gods』。

 

妻がヨガにハマって、ヨガに興味を持った

ドイツ人の監督 ヤン・シュミット=ガレ。

ヨガの起源を知るために南インドを旅する。

 

今でこそ「ヨガ」というと

誰もが「ああヨガね、知っているよ」と言う。

でも、20世紀初頭のインドでヨガの存在は

それほど知られているものではなかった。

年配者や僧侶がするものでマイナーだった。

曲芸のようだ、という偏見もあった。

 

映画では“近代ヨガの父”と呼ばれる

故・クリシュナマチャリアという人を中心に

クリシュナマチャリアの弟子や子供たちを

取材して、ヨガの起源にせまっていた。

 

ヨガのポーズひとつひとつは

アーサナと呼ばれている。

アーサナをひとつ完璧に覚えたら

次のアーサナを教わることができる…

そうやって弟子たちは学んできたという。

私は幼い頃のピアノのレッスンを思い出した。

 

ヨガは身体の一部分でなく、

呼吸から始まって身体の細部に至るまで

余すことなく使ってするものだ。

身体全体を生き生きとさせることに

私はまた、クラシックバレエを思い出した。

 

ヨガの歴史を紐解いてみると、

クリシュナマチャリアは1888年から

1989年まで生きていたし、その弟子たちも

長生きしていることが分かった。

 

ヨガに「痩せるためにするものだ」

というイメージをもつ人も多いだろう。

確かに映画に出てくる案内役の

ヨガ講師もスラリとしていたし、

クリシュナマチャリアは小食だった。

でもヨガは、身体を浄化し心を整え、

集中力を高めるはたらきがある。

それが結果的に痩せることにも繋がるけれど

もっと深みのある存在であることを知った。

確かに腕で支えて頭で立つアーサナ

集中力がなくては出来るものでない。

 

一部の人にしか知られていなかったヨガ。

クリシュナマチャリアが、

マイソール王国の君主に雇われて

ヨガは身体能力を高めることだと教えたり

インドの大学で哲学と並んで

ヨガの科目を実践したことでその存在が

広まっていったという。

 

宗教の種類は関係なくただ、

魂の在りどころを探るというヨガ。

そして自分の思想を人に押しつけることの

なかったクリシュナマチャリア。

彼の心がけや弟子への受け継ぎ方が功を奏し

今こうしてヨガが多くの人に

親しまれているのだということがわかった。

 

私はヨガといったらハトのポーズを

するのがやっとだし、

以前興味を持って図書館で本を借りて

読んだ時に「なんか複雑…」という

感想を抱いたけれど、こうして映像で

観てみることによってよく分かった。

知れば知るほど奥深いヨガだけれど、

これをいつもの生活に取り入れることが 

出来たらもっと生き生き暮らせそうだ。

 

そして映画を彩るBGMがよかった。

ドビュッシーラフマニノフ

リムスキーコルサコフ…ソラブジも。

最初はもっとインドっぽい曲にしないの?

と不思議な気持ちで聴いていたけれど、

映画が進むにつれてしっくりきた。

 

ヨガをやっている人にはもちろん、

1年のはじめに観る映画としても

いい作品だと思った。

 

 

さて、「シネ・ウインド」の会員になると

その場で無料鑑賞券が1枚もらえる。

私はさっそくそれを使用したけれど、

そのほかにも割引価格で映画を観ることができ

毎月シネ・ウインドで上映する作品や

市民の映画生活がわかるマガジン

「月刊ウインド」が送られてくる。

館内の資料や本の貸し出しもあるそうだ。

これで新しい映画の世界が広がってきそう。

今年の夢リストはこれでひとつクリアだ。