「独立記念日」
初めて手に取る原田マハさんの本。
書店で初めてこの本を見かけた時、
「江國香織さんの文庫装丁みたいだな」
なんて思ったような。
独立ってなんだろう。
私がぱっと思い浮かべるその意味は
金銭的に自立すること、だった。
そもそも独立と自立は
ごちゃまぜになって私の認識を曖昧にしてた。
この「独立記念日」という短編集も
もともとは「インディペンデンス・デイ」
というタイトルからの改題だったそう。
independenceの意味には
自立も独立もふくまれる。
物語を読み進めるにつれて
原田マハさんが改題して「独立」を選んだ
気持ちが少しずつわかって行く気がした。
短編集の中の一編一編の主人公の
考えのクセや悩みごとなんかが
少しずつ自分のもののように思う。
この短編集の主人公たちは
2時間映画の主人公たちがそうするように
ラストに向けて私を置いて行ったりはせず
優しく寄り添ってくれるような気がする。
ある一編で私は通学のバスの中で
涙をぬぐったし
ある一編で私はページの端を折った。
一編一編噛みしめたい感情の連続。
ガムのようにしっかり噛みしめたあとは
しっかり生きていこうかな、と
すきっと立ち上がって駆け出す自分が見える。