「モデルは主役ではなくて、1つのピースだと思うんです」

7月になってからというもの、読書癖が加速してきている。まだ8日なのに今月はすでに4冊読んでしまった。

友人に2冊借りたのだ。
「ありすちゃん、この本は絶対読みながらページ折りたくなるよ」
これは、と思った言葉や覚えておきたい知識があったページの角を折りたたむという私の読書にまつわる癖を彼女は知っている。

吉野北高校図書委員会』シリーズ以来の、当時は恥ずかしかったり憎たらしかったりした感情を愛しく思えるような恩田陸著の『夜のピクニック』。やっと読んだの?と自分でくやしくなった。もっと早く出会いたかったのだ。

本を読む私の隣から「それおもしろいよね」という声が聞こえてきたのは東野圭吾著『ナミヤ雑貨店の奇蹟』。東野圭吾さんの作品を読むのは初めてだった。40年前と数々の出来事を経験してきた現代がひとつの牛乳箱でつながっている。封をされた封筒にハサミをいれて中身を知る時のように、食いついてすごいスピードで読んでしまった。映画になったらますます面白いと思う(舞台はやっていたようだ)。

「stand」への記録も続いている。↓↓

読書家で有名な杏さんの話がしたい。

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2009年頃のテレビ番組に「私の10のルール」というものがあった。

杏さんのルールは

1.ハイヒールは1キロ歩けるものを選ぶ
2.本番直前に肩を開く
3.「出来ない」と言わない
4.海外にギターをもっていく
5.寿司屋では必ずネギ多めのネギトロ
6.毎日杏色を欠かさない
7.手帳にすべてを記録する
8.美術館には必ず鉛筆を持っていく
9.歴史の本を持ち歩く
10.手書きの力を信じる

詳しく見ていくと…
1→死ぬまでに少しでもたくさんの場所に足を運ぶため。
2→肩が縮こまったり、丸まったり反っている状態からフラットに戻すため。
7→半券やお世話になったスタッフの名前、行った場所、したこと、何カット撮ったかなどをすべて記録。手帳はパンパン
8→ただ見るだけだと「キレイだったな」でおわってしまう。フランス語でモデルは「マネキン」の意味。カメラマンの伝えたいことを表現するツールだ。モデルは服を見せるものであるが、ライフスタイルを充実させることでそれを伝えるために芸術に触れている。 
9→歴史上の人物は死にたくて死んだわけじゃない。有限性があるのが人間だから、「生き急ぎつつ永らえる」をモットーに後悔しない毎日を過ごす。 
10→手書きで人に感謝の気持ちを伝えたい。ワープロにサイン、ではすまさない。

ということだそう。
今では女優や声優、本を書いたりCMでも引っ張りだこの杏さんだが、モデルからそのキャリアをスタートさせた。

10のルールの2「本番直前に肩を開く」について、「モデルは主役ではなくて1つのピースだと思うんです」と語っている。「スタッフさんとみんなで作りあげたものが主役なのではないかな」とも。撮影現場の主役は人ではない、というのが杏さんの考え方だった。

芸能人というと華やかな私生活を思い浮かべるけれど、この「10のルール」や「情熱大陸」を皮切りに杏さんについて知っていくと、良い意味で庶民的な、シンプルな中に輝くものが見えてくる。

朝ドラ「ごちそうさん」の撮影のときは、自分なりに昔の人を演じるにあたって時代考証を念入りにしていたようだ。当時の少女について書かれた『女學生手帖』や暮らしの手帖の『エプロンメモ』なんかを読んで、ビジュアルから、文章から、心の持ちようから当時の女性像を吸収していた。

なにかと心許ない受験生の頃は杏さんの歌(歌がとてもうまい)を聴いたり、ドキュメンタリーを観たり本を読んだりして元気づけられたり、努力はきっと実を結ぶんだなと強い気持ちにさせていただいた。

今も、少し前に発行された『an・an』の日本語特集で「日本語の達人」として杏さんが表紙になっている号を読んで新しい気持ちになっている。(an・anの表紙に杏さんだなんて、だじゃれでおもしろいし)

ブログを始めてからも常々思ってきたが、日本語をきちんと使えるようになりたい。その根底には杏さんのようにきちんとていねいに暮らしたい、という意思がある。

焦っているときほど何も見えないけれど、そういうときこそ目の前にあることに真摯に向き合っていきたい。杏さんの姿を見ているといつも背筋が伸びてくる。

今夜から『花咲舞が黙ってない』が始まる。週の真ん中でちょっとへたってる心に元気をもらいたい。

夜のピクニック (新潮文庫)

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