TOO YOUNG TO DIE!

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昨年からずっと楽しみにしていた映画
『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』

1月のスキーバスの事故を受けて公開が延期されていた。(2月のはじめに公開予定だった)

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春になり、映画館で予告を観ているとこの映画の予告編も流れ出した。「うわー、やっぱおもしろそう!観なきゃ」と思った。

主人公・大助や大助の想い人・ひろ美たちクラスメイトを乗せた修学旅行のバスが、崖から落ちてしまう…。そしてなぜか大助だけ、地獄に落ちてしまう!!

地獄では鬼の形相をしたロックバンドが爆音で演奏をしていて、地獄市立の高校まであった!!


バスが崖から落ちてゆく描写は事故のニュースを思い出して流石にいやな鳥肌が立った。ジェットコースターにある根本的な安心感なんてなくて、操縦者がいない恐怖の乗り物と化するあの時間……

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それでも、脚本を担当した宮藤官九郎さんらしさがキキまくるセリフの数々、テンポの良い地獄の住民たちと大助のやりとりを見ていたら元気が出てきた。

久しぶりにプッと吹き出して笑ってしまった。


地獄で人気のiPhoneならぬ「鬼フォン」で見るニュースでは、「バスの事故で生存が確認されている人が1人いる」!大助は、大好きだったあの子だといいな、もう一度あの子に会いたい!!という真っ直ぐな気持ちで地獄をめぐる。

映画が描く地獄のつくりはなかなか複雑で、言葉で説明するのはなかなか難しいけれど、大助は何度も現世に行くことを試みる。ストーリーが進むにつれて事故や生前の大助たちのことがだんだんと明らかになってくると、すっきりもするしモヤモヤもしてくる。


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私は家族ぐるみで激しめのロックを聴くのが好きだったので、演奏対決や伝説のロッカーの小ネタが出てくるところもすごくワクワクした。


そして何より、本来よりも遅めの公開になってしまったけれど、キャストやスタッフが楽しんで作ってる映画なんだろうなというのがひしひしと伝わってくるのがよかった。

天国は極楽なところで、地獄はさまざまな罰で痛めつけ苦しめられるところ…という概念がちょっとひっくり返っちゃうかも!!

ジメッとするこの季節だからこそ、
大助のメラメラとした気持ちに寄り添って観たい映画だ。

「まつ」と「滝子」の力、そして植物図鑑

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森田屋の「まつ」、青柳商店の「滝子」はかつて、お互い顔を合わせれば優雅な口調で罵りあう犬猿の仲だった。

朝ドラの『とと姉ちゃん』を観ている。
現在はもう「まつ」を演じる秋野暢子さんも、「滝子」を演じる大地真央さんもクランクアップしてしまったそうだ。

犬猿の仲だった2人には共通点があった。

家族といざこざを起こしても、翌朝になると落ち着いて考えをまとめ、家族の考えを尊重しようとするところだった。

「まつ」と「滝子」はそれぞれ、老舗のお弁当屋と木材店をやっていた。戦争が長引き、時代が暗い影を落とすようになると商売の存続に頭を悩ませるようになる。家族みなが、自分たちの店のことを思って意見を持ち、いざこざになっていた。

それでも「おかみさん」だった2人は家族を率いる役目があった。ほかの者の意見を尊重し、ひと晩眠ったら引きずらない…というさっぱりとしたところがかっこいいと思った。

主人公の「とと姉ちゃん」姉妹はけんかになると何日も引きずっていたので、その対象が描かれていることもおもしろかった。


とと姉ちゃん」こと小橋常子を演じるのは高畑充希さん。先日、高畑さんが主演した映画『植物図鑑』を観た。

「まつ」や「滝子」のさっぱりさがかっこいいなら、やっぱり「とと姉ちゃん」や「さやか(『植物図鑑』の主人公)」の魅力は表情がクルクル変わるところだ。

高畑さんは、幸せになれる役もそうじゃない役も、表情の豊かさでなんでもこなしているところがすごい。

物語の主人公は視聴者や読者に、ほかの登場人物には見せない顔を見せてくれる。本当はつらいのになんでもない顔をしていても、物語の受け手にはそのつらい気持ちをちゃんと知らせてくれる。(三人称で書かれている物語はミステリアスだけど)

高畑さんが表情で私たちに気持ちを教えてくれるから、安心して物語についていかれるんだなとドラマや映画を観ていて思った。

なつかしさの基準

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最近思い出したように
映画を沢山観ているけれど、
短調の曲が好きな私は
ついつい惹かれる映画も
ちょっと煮え切らないラストのものを
選んでしまいがちだった。

久しぶりに感動が約束されていそうな
映画を探そうと思って、
パッケージになってる写真の
笑顔がすてきな『アバウト・タイム』を
選んでレンタルビデオ屋のレジに並んだ。

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主人公のティムは、21歳を迎えたとき
彼の父親に「お前はタイムトラベルができる」
ということを聞かされる。
「タイムトラベルができたらどうしたい?」「お金持ちになりたい!」
「それはおすすめしないな」
「それじゃあ、彼女が欲しいよ!!」

タイムトラベルができるといっても行けるのは過去だけで、未来には行けない。
彼は自身や彼の周りの人を幸せにしようと
タイムトラベルを重ねていく……


タイムトラベルできる人、と聞けば日本人は「時をかける少女」を連想すると思う。私もそうだった。甘くて切ないラストが待っているのだろうか……と序盤からどきどきした。

ティムがタイムトラベルを駆使して生涯のパートナー・メアリーに出会ったとき、「2人の幸せが続きますように」と私は願った。

ねたばれになるといけないのであまり詳しくは書かないけれど、『アバウト・タイム いとおしい時間について』のそのタイトルのとおり、一分一秒を確実に生きていくことを愛おしいと思える映画だった。


そして私はストーリーが進むにつれてタイムトラベルを重ねるティムの姿を見て、私にもしタイムトラベルができる能力があったらどう使うだろうかと考えていた。

意外にも私は、こわくて使いたくないな、と思った。別冊ではなくて巻末に答えが載っているドリルの、その巻末のページをおそるおそる見ながら問題を解いている気分になってしまいそうだ。

親しくなった人が親しくなった途端に遠くに行ってしまう……ということが幼い頃からよくあったので、もう会えなくなった人といた時間に戻ってそのひとときを噛みしめるのはいいかもしれない。

きっと私はタイムトラベルを
うまく使えるかわからないから
こわいのだと思う。

ティムのお父さんが教えてくれた「幸せ
生きる秘訣」は、タイムトラベルができない私たちも参考にできることばかりだった。秋の次に、雨が続いたりしてちょっと気持ちがセンチメンタルになる日に観たい映画だ。


私の中でなつかしさの基準が最近変わった。

今までも数年前のことを口先では「なつかしい~」なんてよく言っていたけれど、(といっても数年前だもんね)と思っていた。

だからなつかしいのは幼稚園の頃や小学校の低学年の頃のことだと思っていた。

でも、「涼宮ハルヒ」のアニメがもう10年前だとか、ということは私が小学生だったのは10年前だということとか、それから「10年ひと昔」という父の言葉が妙に頭にこびりついていたことがあってだんだんなつかしさの基準が歳上になってきた。

髪をおかっぱにしたことも懐かしいし、珍しい曲をたくさん聴きたいと思ったことも懐かしい。そのときはいやだなと思っていた退屈な学校も、きっとおもしろかった。


今のこの21歳の生活は、
いつ懐かしくなるんだろう。
その時の私に今のことを聞いてみたい。

髪の毛を伸ばしてたときのモチベーション


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鎖骨までの長さのふわふわとした髪型に
そろそろ慣れてきました。

そのうち書こうと思っていた、
髪の毛を伸ばしてたときのモチベーション
について今日は話したいと思います!

中学生~高校生になる頃まではボブのヘアスタイルにハマっていて、(不思議なことに1度短くしはじめると、次に髪を切るときもっと短くしたくなって、どんどん短くなってっちゃうんですよね)ボブ→ロングボブ→ショートボブ→最後の方は後ろ髪はかりあげ、横顔は耳たぶ上のワカメちゃんみたいになっていました。


↑1年前に同じようなことを書いていました…

ここには書いてないけれど、

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映画「パラダイス・キス」の北川景子さんの髪型がすてきだったので、胸下あたりまでは伸ばしてみたいなと思って伸ばしてました。髪の毛を結んでいるとはやく伸びるとか、夏はよく伸びるというような情報を信じて実践してました!(結局どうだったんだろう。私は髪が伸びるペースはあんまりはやくないと思います)

最初の画像でお分かりになってしまったかもしれませんが、私の髪の毛を伸ばしてたときのモチベーションはずばり!スーパーロングヘアのモデルさんや芸能人を参考にしていたことでした。

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長い黒髪、ぱっつんの前髪、キャットアイメイクに黒い服がトレードマークの秋元梢さん。私も黒い服をよく着るので参考になりました。秋元さんは美髪のために「染めない・巻かない」を徹底しているそうです!


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Perfumeの皆さんはそれぞれのスタイルを守っていて、全員髪の毛がツヤツヤで綺麗です。踊っている時になびく髪が美しく、その中でも髪が長いかしゆかさんはやっぱり目を引きますね。

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ブログでも何度か紹介しているとおり、私は杏さんのファンです。以前放送していた杏さんのラジオで、朝ドラ『ごちそうさん』のときに髪を伸ばしていて、「ランニングをしているときにひじが髪に当たるくらいになっちゃいました。」という話をされていて、そこまで伸ばしたらどうなるんだろうと気になっていました(笑)



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実在する人物ではないのですが……

メーテルを語りたい - 謎の国のありす

メーテルもとても長い髪の毛の持ち主です。髪の毛がカバンに絡まったり、煩わしいと思ったときは「きっとメーテルも彼女のイメージのためにロングヘアのキープを頑張っているわ!」なんて想像して耐えました(笑)


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それから、看護師の経歴を持つパリコレモデルの萬波ユカさん。髪の毛が長いとドライヤーの時間がとても長くなってしまうので、私は雑誌を読んだりスマホを見るようにしていました。

Instagramの「あなたにおすすめの画像」を見ていたら、私と同じくらいの長ーい髪の毛をドライヤーで乾かしている人の動画を発見!その動画の投稿者が萬波さんでした。

萬波ユカさんのInstagram(@nijihan)は長い髪を生かした美しい写真が沢山だったので、「私ももう少しきれいに伸ばそー!」とモチベーションを何度もあげてもらいました。


写真で紹介した方の他にも、美容雑誌などで「髪が資本な有名人のヘアケア!」という特集を見て参考にしました。それから髪の長〜い大学の友人とあるある話をして励ましあったり(笑)

それから

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アップデート - 謎の国のありす

パーマをかけて伸ばし続け、ハネやクセが気にならないくらいの長さになってからストレートにしたのもスパイスになったと思います!


単純なことばかりだったかもしれないけれど、ただ「伸ばさなきゃ!」と思うよりも楽しかったですよ。

第三外国語のこと

 

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4月から、フランス語を勉強しはじめた。

初回の授業で、「名前と所属学科と、なぜフランス語を第二外国語に選んだのかを教えてくださいね」と先生に言われ、1人ずつその場に立って自己紹介した。そのとき自分の口から言葉が出てきて初めて、フランス語を勉強したくなったのかが分かったことが興味深い。

 

ロンドンで仲良くなった18歳の「パリジェンヌ」がものすごくステキだったうえに、私がメモ書きした日本語の文字がプリントされたものみたいでかわいらしいと興味を持ってくれたこと。英語学校のクラスには少人数ながら4人くらいフランス人がいて、みんな親切で母国語で話し合う声が心地よかったこと。

 

自己紹介では短く「いつかフランス人のすてきな友達と彼女の国の言葉で言葉を交わしてみたいから」とまとめたけれど、思えば理由らしい理由はまだまだあった。

 

昔習っていたバレエもまさにフランス!だったし(数字をフランス語で数える先生がいた)、大好きで全巻集めた漫画「のだめカンタービレ」ののだめだってフランスに留学していた。大学に入学したてでとった第二外国語はイタリア語だったが、なんで選んだのかというとそのときイタリア人のおしゃれなポップ歌手にはまっていたからだった(あとから調べたら、「イタリア語で歌っているのに曲調や雰囲気がまるでフランス・ポップなこと」が魅力のグループだった)。

 

語学を勉強し始めるときはNHKラジオ講座がいいと思ったけれど、それだけでは続かなかった経験があるしある程度自分に負荷をかけないと続かないだろうと考えた。かといって習い事をする余裕があるかといったらないし…と思っていたら、「大学で第二外国語を取り直しちゃえばいいのか!」と思いついた。幸い友人が一年生の時にフランス語を取っていたので相談にも乗ってもらえてよかった。

 

 

alicewithdinah.hatenablog.com

 

前にもつらつらと書いたけれど入学してから講義の抽選運にことごとく恵まれず、卒業が怪しくなってしまうのも怖かったから語学の授業をとるのは一石二鳥だとも思った。

 

第二外国語といえばドイツ語や中国語、それからスペイン語、イタリア語などに人気が集まるから、イタリア語をとった時よりもフランス語の教室が小さかった。 その中で他の人の自己紹介を聞くと、「かっこよくておしゃれだと思ったから」「好きなサッカー選手がフランス人だから」「好きなゲームの主人公がフランス語を話すから」…中には「自分でくじを作って引いたらフランス語が出たから」なんて子もいたけれど、それぞれこの授業を楽しみにしてきたんだなと思った。

 

一年生ばかりの教室の中に混じることが不安要素だったけれど、おそるおそる教室に入ってみたら学科の先輩がいたのが嬉しかった。こうしてラジオ講座(朝早すぎるのでいつもネットのストリーミングで聴いている)と週三回の講義で、私のフランス語の勉強が始まった。

 

週三回の講義は朝早いことが辛いけれど楽しい。文法や会話の他に、フランスの文化についても教えてもらえる。フランスでは、お店に入ったら店員さんもお客さんもまずは「Bonjour!」から始める。「コーヒー一杯」なんていうような用件をさっさと言ってしまうと「まずは挨拶でしょ」と言わんばかりに「Bonjour!」と繰り返されてしまった…なんて先生の体験も教わった。

 

カフェでの会話文を勉強した時はオランジーナはフランスの国民的な飲み物なんだと教わった。そうこうしているうちにオランジーナのCМが新しくなった。「Comment allez vous」は英語で言うと「How are you?」で、「調子はどう?」みたいな感じだ。CMが始まって、さわやかに自転車で通学路を走り「コマンタレブー!!」と人々に声をかける先生。「あれ、まずはBonjourじゃないの?」なんていうのも忘れてしまいそうになったりして…

 

私は新発売のハニーレモンジーナが気に入って最近よく飲んでいる。

 

「第三外国語」としてフランス語の勉強を始めてもうすぐ二ヶ月。まだまだ会話をする・文章を綴るのは難しいけれど、確実に知ってる単語や理解できる言い回しが増えてきたことが嬉しい。フランス映画も不思議でおもしろいものがたくさんあるし、音楽ももっと調べてみたい(ああ、ドビュッシーラヴェルもフランスの人よ)。

 

 

alicewithdinah.hatenablog.com

 

無印良品のノートを使用し、私の書いた文字を褒めてくれたパリジェンヌ・マガリとはInstagramで交流を続けている(写真だけで交流できてしまう…)。「パリに来るときは教えてね!」という言葉に、いつか応えたいと思う。

髪の毛が大阪に渡りました

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2011年から伸ばしていた髪の毛を、
週末にとうとう35センチ近くカット!
今まで苦楽を共にしてきた髪の束は
昨日大阪に渡ったと連絡が。


Japan Hair Donation & Charity
(通称JHDAC)

ここに送られた髪の毛は、髪の悩みをもつ
子どもたちのための人毛ウィッグとして
次の役目を果たす予定です。

今、この世界では、というか日本の中だけでもいろいろな問題があって、それだけ困っている人がたくさんいます。

そして今の私には、根本的にその問題を解決する力がありません。

普段の生活で今すぐ出来ることと言えば、週末に街角で呼びかけられている募金に協力することくらい。

ネットのニュースやテレビのドキュメントを見てなにか出来ないだろうか、と思っても自分のことについ精いっぱいになり、日々の慌ただしさにその思いはかき消されていきがちでした。

そんなとき、多分これも出会いはネットだと思うのですが、「ヘアドネーション」の存在を知りました。

とりあえずロングにしてみたくて伸ばしていた髪の毛。もう背中を覆ってるし、大学卒業するまでには絶対切らないと、と思う……ばっさり切るなら「ヘアドネーション」に協力できるかもしれない。

調べてみると、ヘアドネーションには最低でも31cmの髪の毛が必要ということ。ブログなどの体験記を見てみると、それだけ切れば皆さんはボブやショートヘアになっている。

私としては切ったときに鎖骨くらいまで残っていてほしいから、それをもくろんでヘアカットの時期を調整していました。

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やー、しかしのびたなぁ!

ヘアドネーションカットは、31cmのところで髪の毛を少しずつゴムで束ねて一気に切るのですが、5年前にワカメちゃんみたいにかりあげていた後ろ髪がながーく束ねられているのは不思議な感覚でした。

束ねた髪は平安時代みたいなアレンジだし、束ねた髪をとりあえずブツ切りすると、古文に出てくる稚児みたい。

もくろみどおり残った髪は鎖骨くらいになりましたが、もともとあごのラインあたりでうねりやすい髪質を持っているため、くせ毛っぽいゆるパーマをかけてもらうことにしました。肩あたりの髪でそのままにしておくと、はねちゃいやすいもんね。

パーマは実に1年半ぶり。成人式から伸ばしていた前髪も、パーマをかけることにしました。そしたらパーマ用にロッドを巻き付けられた私の頭は「町娘」みたいに!!「さっきから時代劇みたいだけど、あとでちゃんと今っぽくなるから大丈夫だよ」と美容師さん。

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ブツ切りした髪を夏らしくととのえてもらって、数時間前まで一緒に過ごしていた髪の毛と記念撮影をしました。

子どもたちに笑顔をとどけてね。
今まで一緒に過ごしてくれてありがとう!


髪が長い、ということを生かして人のために行動を起こすことが出来たことが嬉しかったし、単純に久しぶりの「がっつり美容院」の時間が楽しかったです。(この新しい髪型は、「なんか若返った?!」なんて評判でそれもまた嬉しい♡)

最近では柴咲コウさんが協力したということもあって、NHKのドキュメントでも取り上げられたりして認知度が高まってきている「ヘアドネーション」。

それでもまだまだウィッグを必要としている子どもたちの数に対して、実際に出来上がったウィッグの数が少なすぎるという状況です。

公式サイトでは全国の「ヘアドネーション賛同美容室」が出ているので、ぜひ皆さんの地域の賛同美容室を探してみてください。(私はちょうど成人式でお世話になった美容室が賛同美容室だったので、そこで手続きなどをしてもらいました。)

今日はこの記事を通して、皆さんにヘアドネーションのことを知ってもらえたらいいなと思って書きました。

またなにか新しいことがあったら書いていこうと思います!(それから、どうやって髪を伸ばすモチベーションを保っていたのか……5年前のワカメちゃんってどんなだよ……なんて言うこともそのうちお話できたら(笑)))

宛先不明の人を想って

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文字を読むことが不得意で、勉強が大嫌いだった僕。大学4年のとき卒論のために配属された喜嶋研究室での出会いが、僕のその後の人生を大きく変えていく。寝食を忘れるほど没頭した研究、初めての恋、珠玉の喜嶋語録の数々。学問の深遠さと研究の純粋さを描いて、読む者に深く静かな感動を呼ぶ自伝的小説。

森博嗣 著 『喜嶋先生の静かな世界』


「これを読むにはまだ早いかも」
「ああ、もっと早く読んでおけばよかった」
と思う本は今までに数知れず…
(最近は圧倒的に後者が多い)
でも、この作品は久しぶりに(初めてかも)
「あ、今読んでよかった」と思えた一冊だ。


あまりにも著作物が多く、ミステリはだいたいが4冊ほどのシリーズものになっており、一度浸かったらどっぷりになりそうで怖いのでまだミステリは『ゾラ、一撃、さよなら』しか読んでいない。けれど今までに読破した『つぶやきのクリーム』をはじめとするエッセイでもじゅうぶんに森博嗣さんの独特なキレや世界観が伝わってくる。

作家であり、工学博士である森博嗣さん。文章は論理的で、ご本人の性格も堂々としている。その自信はどこから来るのか?どうしてこういう考え方ができて、人を惹きつける文章が書けるのか。

と、疑問に思っていたところで手に取ったのが自伝的小説といわれる『喜嶋先生の静かな世界』だ。

本の中で中心的に書かれているのは主人公・橋場の大学・大学院生時代。

私はどちらかというと文系の研究を大学でしているし、今のところ大学院に進学することは考えていない。「理系」「大学院」というキーワードは、白組女子と赤組男子みたいに私とは正反対の事柄に思えるので、いくら読みたい本だと思えてもその内容に興味が持てるかは不安だった。

けれど心配はなかった。

意味のわからないものに直面したとき、それを意味のわかるものに変えていくプロセス、それはとても楽しかった。考えて考えて考え抜けば意味が通る解釈がやがて僕に訪れる。そういう経験だった。小さかった僕は、それを神様のご褒美だと考えた。

どちらへ進むべきか迷ったときには、いつも「どちらが王道か」を僕は考えた。それはおおむね、歩くのが難しい方、抵抗が強い方、厳しく辛い道の方だった。困難な方を選んでおけば、絶対に後悔することがない、ということを喜嶋先生は教えてくれたのだ。

義務教育を受けていた頃から、答えが一つのものを導き出すことが求められる教科は私は苦手だった。その苦手意識は、私を「ばりばりの文系」にはめていったのかなと思う。


それでも、科学の前で研究者はみな平等で、それは民主主義に似ていること。すべての情報は公開されていて、誰にでもアクセスできること。大勢が認めないとそれは主流にならないということ。検証していく仕組みがあって、それは思想的なもののように暴走しないということ…。

科学の研究はとても「謙虚」で、魅力があることを主人公・橋場の目線になって理解した。

やりたい研究に思い切り没頭できる大学院で過ごす時間。研究者と1人の成長しゆく人間との間をさまよえるモラトリアム期間。


白組女子は赤組男子にはなり得ないかもしれないけれど、そんな人生も素敵だなと思える。


主人公・橋場の周りには、喜嶋先生の弟子、ゼミの仲間、恋人、学部の他の先生などがいる。橋場がどのようにその人たちそれぞれを見ているかというのも(とくに女性陣に対して)興味深かった。



巻末にある養老孟司さんによる解説に、夏目漱石の『こころ』を連想したという記述がある。私はそこにさらに、「喜嶋先生」というキーワードを絡めてドビュッシーの〈喜びの島〉を連想した。間違ってはいないと思う。


物語の中心に描かれていた時代は、けして現代の話ではない。だから、宛先不明の手紙が戻ってくることも書かれていた。今でいう、メールを送ったら即座にメールセンターから「アドレスが見つかりません」のメールがくるみたいなものか。

もう10年以上も前になるけれど、そういえば私もそういうことがあったなということを思い出した。届かなかった手紙はさみしそうに手元に残っている。転勤したと言ったあとしばらくして姿を消してしまった人。「僕の周囲では特別なことではない」に続く記述を読んで、ちょっと気が楽になった。


自分と共通項の少ない要素で出来た物語だと思って読み始めたけれど、前のめりになって読んでしまったし不覚にも共感できてしまうこともたくさんあった。


好きなことを研究する。
それは幸せなことに見えるけれど…
研究者とは何たるものか、
1ミリでも理解できただろうか。
この作品を読み終えた今、
それが今だということが幸せだと思った。