半径5メートルを深化し、進化する

小学生のころ訪れたドラッグストアに、クエン酸入り健康飲料の試飲が置いてあった。「疲れてる人にはすっぱく、そうでない人には甘く感じるでしょう」 なんてPOPが印象的だったのを覚えてる。ちなみに私は甘く感じた。

「半径5メートルの野望」/はあちゅう
は、そんな本だと思った。

半径5メートルの野望

半径5メートルの野望



発売されたのは今年のはじめで、当初から人気が高く発売されてしばらくは近所の書店でも在庫切れでなかなか手に入らなかった。

はあちゅうさんの本を手にとるのは高校生の時に読んだ「自分の強みをつくる」に続く2冊目。
(上のリンクは私の高3のときの記事で、このブログの前身となっている。はあちゅうさんの著書と高橋みなみさんのソロシングルについて書いた)

目からウロコなことも書いてあれば、自分の中で言葉にならずもやもやとしていたことをいくつもよくぞ言い当ててくださったな、ということも書いてあった。私の他にもいろいろな人が抱えているであろうもやもやを痛快な言葉で綴っていくはあちゅうさんの文章を読み、すごいなと思いながらも先に言葉にされてしまったなという悔しさも残った。小説を読んでいる時も綴られた微妙な感情に共感した時によくあることだ。そんな時は語彙力のなさを痛感する。

「半径5メートルの野望」から学んだことは
  1. “今”に意識をフォーカスすること
  2. あたり前を極めること
  3. 進化し、深化すること であった。

  • “今”に意識をフォーカスすること
自分で決めなければ「100パーセント幸せ」という瞬間は訪れない。心の満足度を変えられるのは自分だけである。まず自分が幸せになることが世界を幸せにする第一歩になる。

  • あたり前を極めること
最近はあまり見かけないが、ブログやプロフ、プリクラなんかに「GAL極める」「次のテストは日本史極める」なんて書いてあるのをよく見た。本書では「極める」という表現は使われていないものの、「その人にとって当たり前のところに個性がある」「人脈を広げようと新しいところに顔を出すばかりではなくてもっと周りの人たちを大切にする」などが分かりやすいエピソードを交えて紹介されていて、とことんあたり前を追求することの大切さがわかった。

  • 進化し深化すること
新しい研究が進み、世の中が便利になり、世界は日々進化している。私たちも特別なことをしなくてもスマホから新しい情報を毎日受け取り、インプットして進化していく。そんな進化も大事だけど考えること、つまり深化も大事だと本書にある。なにかの理由は外側ではなく、自分の中を掘り下げて考えることによって見つかるかもしれない。


上記以外で心に残ったことを紹介したい。

  • 人の居場所は誰かの胸の中にしかない
  • 行動(=夢をかなえるプロセス)を分解してみると、感情と作業でできている、つまり夢=todo。どんな小さな夢にも着目して叶え、夢をかなえるくせをつける
  • 落ち込んだ時は、誰かに元気をあげる
↓昨年末に読んだこちらの本を思い出した。

孤独と不安のレッスン (だいわ文庫)

孤独と不安のレッスン (だいわ文庫)


あとがきではあちゅうさんはタイトルの「半径5メートル」について触れている。
もし、誰かの人生が羨ましくなったら、その時は、きっと他人のことばかり見えていて、自分のことが見えなくなっている状態です。そういう時こそ目線を半径5メートルに戻して、自分と、自分を支えてくれている、大事な人にその目を向けてみましょう。大切なものはすべてそこにあります。そこを原点に一つずつ焦らずに、やるべきことをやっていけば、きっと夢は叶うはず。
挑戦できない、もしくは挑戦中の私たちを厳しくも背中を押してくれるはあちゅうさんの言葉はこんな感じだ。

発売日からしばらくして手に取り、初めて読んだ時の私は年度末に向けての慌しさでばたばたとしていた。そんな時のこの本はいつか飲んだクエン酸ドリンクみたいにすっぱく感じた。読み終えてすぐ感想をブログに書きたかったが、時間のなさをいいわけにして実現出来ていなかった。

慌ただしさを感じながら過ごした日々は進化より深化をめざしてた。考えをつい深めてしまうことが悩みだったが、それでもいいんだなと思うと気が楽だった。だからか、今こうして再読してみるとクエン酸ドリンクは甘く感じるようだ。

あとがきではあちゅうさんはこう結ぶ。
最後にお願いがあります。この本を読み終えたら、元を取るために、何か一つ、小さなことでいいので、行動を起こしてみてください。
初めて読んだときは何も見つからなかったが、再読した今「まずこの本を読んで思ったことをブログに書くことから始めよう」と思い立った。時間は経ってしまったが今こうして本書についての考えをここにまとめられてちょっとほっとしている。

挑戦し、未だ挑戦し続けるはあちゅうさん。まるで一緒にマラソンコースを走っている気分になれる。そんなはあちゅうさんだからこそ、彼女の言葉が効く。