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50のその1、にしのかなこ

のせ書店

 

座ったところからすこし目線を上にした場所に

その看板は存在する。

越後線寺尾駅、私はその看板を

何度見たことだろう。

目にするたびにほっとするような

なんだか残念なような複雑な気持ちになる。

けしてのせ書店のせいではない。

その気持ちは私が読んでいる本がそうさせる。

読書に夢中になっていた私は

のせ書店の看板を見るとすぐさま

本に栞を挟んで早めの下車準備をする。

あと一駅分残っているけれど、

夢中になって乗り過ごしちゃいそうだから。

 

西加奈子著「さくら」

 

夏休みの終わり、ある古本屋で出会った。

本との出会いのタイミングって

人との出会いと同じくらい

人生を左右するような気がする。

私は「さくら」に出会ったのが

大学生になってからでよかったと思う。

 

●この世界のものはみんな誰かのもので、

誰のものでもない。

●今夜誰かを想って暖かい気持ちになるけれど

それに1人で眠っている事実以上の孤独を感じる。

●皆、ありのままの自分なんてないんちゃう?

 

小中高生のリアルな、それもその時の

本人たちにさえ気付けないような

潜伏した気持ちの数々がすべて書かれている。

 

私自身今までの学校生活で本当に様々な

人に出会った気がしたからか

「さくら」で描写される人々を

すんなり受け入れることが出来たけれど

もっと早く出会ってしまっていたらまた

今とは違う考え方をしていたかもしれない。

 

カオルのようにのっぽではないし

ハジメのような人気者でもない。

そしてミキみたいに美人じゃないけれど。

考え込む、心の中でスーサイドするほどの

気持ちを味わう、やるせない思いにかられる。

水の中に潜って耳にフィルターがかかって

まるで記憶に音がなくなったみたいに(ちょっと引用)

全てのことは覚えていないけれど

心の奥底から登場人物たちに共感できた。

 

結局人はもらった命を空に返す日が来るまで

何があっても生きていく必要があるんだなと

苦しいけど読み終わってそう思った。

大切にしたい人やものがあることが

どれだけ自分の支えになって、

それを失ってしまうことが

どれだけ自分を頼りなくさせてしまうんだろう。

「さくら」の中の人たちは全力で生きていた。

言葉にしなくても愛でいっぱいだった。

一生懸命で、だからとてもまぶしかった。

 

2014年が始まったとき、今年のテーマを決めた。

ありきたりだけど、自然体でいること。

そのあと「アナと雪の女王」が公開されて

世間でもありのままでいることを尊ぶ

価値観が浸透したように思う。

だからちょっと、生きやすかった。

 

ありのままでいるって、何だろう。

自分自身の選択に誇りを持てるようになること、

好きなものを好きだと言えることが

大切なことなのかなと思う。

「さくら」からはあらためて

何かの終わりが来るその時まで

そういうことを大事にしていこうと思わされた。

 

2014年のうちにあと本を50冊読む。

1冊目は、西加奈子著「さくら」でした。