まとめる名人

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「75歳 はじめてのスマーホに挑戦中」

という自己紹介で人気を博している

ツイッターユーザーがいる。

 

「今日も元気に行ってらっしゃい」

平均的な年齢層のユーザーよりも

歳を重ねたからこその包容力が

伝わってくる。

そして本人は多分その魅力に気付いてない。

 

スマホは使えないけど、

らくらくホンのショートメールで

いつも私を気遣ってくれる存在が

母方のおじいちゃんである。

 

お盆で久しぶりに顔を見せに行った時

いつもメールをありがとうと言うと

「おれはな、短い言葉で

まとめるのに慣れてんだ」と笑った。

 

登山が趣味で、山を眺めながら

水彩絵の具でその様子を写し取るのも得意。

そしてそれを葉書にして友人に贈る。

 

葉書は手のひらサイズで、

裏には相手と自分の住所を書くとなると

文字を書くスペースは限られる。

今まで何枚も山の便りを書きこなしてきた

おじいちゃんはすっかり

言葉のまとめ上手なのだ。

 

限られたスペースに、簡潔に文字を込める。

そして人に正しく伝える。

複数枚の便箋で届く手紙よりも

確かにインパクトは強いんだよな。

 

俳句からツイッターへ、

葉書からショートメールへ。

 

私は春からラジオの仕事をはじめて

言葉をまとめることと逆に

どんどん言葉を広げていくことを覚えた。

ふくらませ名人の修行をしているようだ。

 

ふくらませていく中でもやっぱり、

一言一言簡潔にまとめる能力も

ほしいものだな。

誰も知らないこと

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先日、海辺の花火大会に行った。

私は今まで新幹線の中から偶然見る長岡花火と

幼い頃から慣れ親しんだ新潟花火くらいしか

花火大会を味わったことがない。

 

水の上で花火が咲く柏崎の大花火大会。

眼から空まで遮るものがない

広くて黒いキャンバスいっぱいに

大きな光がぱあっと降ってくるそうで。

 

海というとよく、セットで思いつくのが

「嫌なこと」そして「青春」だ。

嫌なことがあったら海に行って、考える。

自分の悩みは小さかったと感じる。

そして「夕日のバカヤロー」って叫びながら

浜辺を走るとか、ね。

 

海辺の花火大会はまさにそんなようで、

広々としたところに座って、空を見上げ

大きく咲く花火の音と

人々の歓声を交互に聴く。

私も一緒に歓声をあげる。

小さいことはどうでもよくなったし、

クマやタヌキやハートや魚の形にあがる

花火を見て、

「花火を作る人ってすごいんだなあ…」

なんてしみじみ思ったりする。

 

数日経ってもやっぱり、

あのにぎやかな空間が脳裏に焼き付いてるけど

でも、もう1つ忘れられない景色が。

車が渋滞に巻き込まれないようにと、

ちょっと早めに出てきたんだけど、

門限が近づいているようで

帰路を急ぐ

中学生くらいの男の子と女の子がいて、

走っているうちにどさくさにまぎれて

どちらからともなく手をつないでいた。

この季節に限った話じゃないのに、

「ああ、夏だなあ」なんて思った。

 

誰かの幸せの瞬間をひと目見て

その日がいい日だったと思える理由が

ちょっぴり増えたのがよかった。

 

そしてきっとこれを見たのが

私だけだった、ということも。

 

 この話を誰かにするたびにはしゃいでしまう。

〇〇の夏

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〇〇の秋、というのはよくいう。

芸術の秋、食欲の秋、スポーツの秋、

そして読書の秋。秋の夜長のおとも。

 

では夏はなんだろうな。

食欲がわかなくてつるつるしたものを食べたい

スポーツをする前から汗をかいちゃう

芸術は…大学で一年中勉強してる。

 

私はやっぱり、夏も読書だ。

小学生の頃から、夏が近づくと書店に置かれる

「〇〇社の100冊」みたいな冊子が好きで、

「2冊買うと栞をプレゼント」とか

「1冊買うとその場でブックカバー!」とか

特典を見てどれにしようと選ぶのも、

ひとつの楽しみだった。

 

今年は学生最後の夏休みということで

特に大きなことをする予定はないけれど、

いつも読まないような本を読んでみたいな

なんて書店を回っていて思う。

 

その前に、本棚の整理をした。

押入れから出してきた、

奥行きのある三段の黒い本棚。

ここに、奥と手前にぎっしりと

大学生になってから揃えた文庫が置いてある。

 

「同じ作家の作品は続けて読まない」とか

「エッセイと小説交互に読む」とか

以前はマイルールを作っていて、

読んだ本から順に本棚に仕舞っていたから

作者やシリーズ別に隣合わせて整理した。

 

文庫のタイトルや装丁を見るだけで

読んでいた当時の記憶が蘇る不思議。

 

ゆっくり休みたくなって読んだ短編集、

時間が経っても読後感が色褪せない1冊、

夢中になって読んだ3冊完結のシリーズ物。

 

いわゆる「積ん読」も恥ずかしながら

多く見つかった。

積んでないけど、読み終えてない。

途中でさじを投げ、奥に仕舞ってあった。

それで、少しずつ読んでいこうと思って

部屋の隅に「積んで」ある。

眠る前に1章、目についた1冊に挑戦中。

 

こうしてこれからも私は

1年中何かと理由をつけて本を読むんだろう。

 

友人へ

気になる本があったら言ってください。

貸し出します。

 

愛の夢とか

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うまく言葉にできない、とは

どういうことだろうか。

 

川上未映子さんの『愛の夢とか』を

ずっと読もう読もうと思っていた。

旅先の駅の本屋で、快速に乗る前に

寝過ごして降りる場所を間違えることの

ないように一冊の文庫を購入した。

それが『愛の夢とか』だった。

 

 

alicewithdinah.hatenablog.com

 

 

前に『すべて真夜中の恋人たち』

という長編小説を読んだ。長編小説つながりの

『ヘヴン』も読まなきゃな、って思った。

今、『すべて真夜中の恋人たち』を

読んだときのブログを読んできたけど

私、一年経っても目の付け所が変わらないな。

 

うまく言葉にできないということは、誰にも共有されないということでもあるのだから。つまりそのよさは今のところ、わたしだけのものということだ。(9ページ『アイスクリーム熱』より)

 

ちょうど一年ほど前、川上さんの長編小説を

読んだときも「言葉」についての記述に

目をとめたようだったのだ。

 

『アイスクリーム熱』『お花畑自身』

『いちご畑が永遠につづいてゆくのだから』

なんて、いちいち章のタイトルが可愛らしい

短編小説だった。

 

文庫のタイトルになった『愛の夢とか』は

まさに、リストの〈愛の夢〉を

おばあさんが演奏している話。

好きだと思った。

 

川上さんの描く物語は、人間が普段

何気なくやってるけどわざわざ人に見せたり

発信したり共有したりしないところとか

人に言わない考えが丁寧に綴られてると思う。

そしてそんな文章を読んでいて想像するのは

センスのいい色づかいをする画家が

細い線で描いた、挿絵のようなものだ。

 

愛の夢とか』に出てくる主人公たち

みんなを抱きしめたくなってしまった。

特に最後の短編(と言えども一番長い)

『十三月怪談』が一番よかったな。

人の現実は、その人が考えている通りに

いかようにもなっていくのかなと感じた。

 

さて、何を考えようかな。

「うまく言葉にできないということ」

について。

私、ずっと、考えごとは夜にするのがいいと

思っていたけど、どうやら

アウトプットするのは朝がいいらしい。

だから朝にこのブログを書いてます。

 

赤と青を混ぜて

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旅に出るときの鞄に差し込んだ本は

ただでさえいつもよりも印象深く見える。

でも、旅先で読んだ山内マリコさんの

『パリ行ったことないの』は

さらにいつもよりも濃い印象を残してくれた。

 

彼女の著書『ここは退屈迎えに来て』で

"ファスト風土"という言葉を知った。

ありそうな地方都市でのアレコレ、

鬱屈した人々の精神が描かれていて、私は

車で買い物に出かけた時によく見る景色を

見ては本の内容をそっと思い出したりした。

 

少し前に『アズミ・ハルコは行方不明』

という映画を映画館で観た。

これも、原作が山内マリコさんで

センスのいい本しか置いていないと評判の

書店で見かけて以来気になってた作品だった。

主人公・アズミハルコを蒼井優さんが、

地方都市で派手に暮らす可愛い女の子を

高畑充希さんが演じていた。

『ここは退屈迎えに来て』で描かれていた

地方都市のあの側面をまた、

映像で見るとこうなるのかと実感した。

思ったよりもファンタジック。

 

そして、ついに手にとったのは

『パリ行ったことないの』というわけだ。

 

タイトル通りパリに行ったことがない

女性たちが主人公の短編集。

でも、パリに行ってみたいと

熱望する者ばかりでない。

「パリでも行こっかな」なんて人もいる。

 

今までに触れた山内作品で描かれる

地方都市の鬱屈とした部分はそのままに、

「女性は歳を重ねてこそ美しい」

「どう生きたいかは自分の軸で決める」

といった、女性たちの憧れの的になる

"フランス人の生き方"といったものが

対照的に描かれているという構図。

 

彼女のたちの「パリに行こう」という

望みは叶うのか、その結末はぜひ

小説のページをめくって確かめてほしい。

 

私自身もパリには行ったことがなくて

「第三」外国語の授業として

フランス語を履修してしまうくらいには

パリに憧れがあるし、

パリジェンヌみたいなマインドで生きたい。

だから『パリ行ったことないの』を読んで

主人公の女性たちと一緒に考えた。

「あこがれ」にとどまらないパリの印象も

本の中には描かれていてそこが清々しい。

 

赤と青を混ぜたらまあ、紫色になる。

日本の小さな都市で暮らす気持ちを赤として

パリでの凜とした暮らしを青とすると

『パリ行ったことないの』では

赤青の二色を混ぜたら真ん中には白が出来て

国旗みたいになるかなあ、なんて

ちょっと変なことを考えたりもした。

 

 

春ドラマ

4月から始まったドラマが

ぞくぞくと最終回を迎えた。

 

あなたのことはそれほど

人は見た目が100パーセント

・ボク、運命の人です。

 

を今クールは観た。

 

「あなそれ」はとにかく注目度がじわじわと

上がってきて、私の周りでも観ている人が多く

観ていなかった人も口コミで

観はじめる…なんて作品だった。

 

主題歌「CQCQ」もイントロから毎話の

衝撃的なラストに似合う曲で中毒性があって

ドラマにぴったりだったと思う。

なんのドラマでも主題歌の歌詞に注目して、

「これはドラマの中の誰の目線で

書かれてる歌詞なのかな」と考えるのが

好きなんだけど、「CQCQ」は誰だろ。

 

波瑠さん演じる悪い女っぷり、

「21世紀の冬彦さん」と言われる

東出昌大さんの怪演、

「ザワザワさせる」キャストの皆さん。

最終回では名言もたくさんあって、

多くを語らないキャラクターほど

その行動に含みがあって、

あれこれ想像させられるラストだった。

 

 

 

「ひとパー」は、ブルゾンちえみさんが

ドラマに出るということで気になって観た。

第1話で

「こんなに引っ込み思案な人、いる?」

なんて桐谷美玲さん演じるキャラクターに

驚いてしまったけど、

「ビューティー研究」の数々や

化粧品会社の社員の華やかな着こなしが

見ていて楽しくて全話観ていた。

 

サントラもおもしろい曲が多くて、

注目していたブルゾンちえみさんが

いつものネタの時より格段にメイクが薄くて

性格も全然違う人を演じていて、

「同じ人でも装いや心の持ちようで

こんなに別の人に見えるんだ…!」と

改めて気付くこととなった。

やっぱり話し声が素敵なブルゾンさんだった。

 

普段は化粧っ気なく、地味な役どころだけれど

ドレスアップした姿はまさにいつもの

キラキラしている女性だった桐谷美玲さん。

ちょうど最終回を観るころ、

友人に貸していた「のだめ」のドラマDVDが

返ってきたので、音大生の清良役だった

水川あさみさんが男の子のお母さん役をしてて

はたまた若い頃はギャルだった…という

設定だったのも面白かった。

 

女子、としていろいろと見た目に

気をつかうことは骨が折れることもあるけど

楽しんで「研究」したいな、と思った。

 

 

 

「ボク運」はなんといっても

"修二と彰"のコンビが再共演ということで

注目度の高い作品だった。

そして私は木村文乃さんのファンで、

木村文乃さんと菜々緒さんの

再々共演ということで楽しみにしていた。

前の作品では殺しあったり、

派閥同士でいがみ合うような役だったのに

親友同士、としての共演でほっとした。

 

山下智久さん演じる「謎の男」は

亀梨和也さん演じる誠にとって

ドラえもんのような存在だった。

「運命」がキーワードとなるこの作品、

クラシックの曲がたくさん出てくるのも

すてきなポイントだった。

 

そして、一見「関係ない」と思われる

些細なことも、目には見えない力で

タイミングや運をつかさどってるのかな

なんて思えてしまうような出来事が

たくさん起こるドラマで

誠と晴子(木村文乃さんの役)の周りの

優しい気持ちや、誠の頑張りで

晴子さんとの心の距離が近づいていく

過程を見るのは毎週の楽しみだった。

 

 

ということで、今クールのドラマのことを

忘れないように書き留めて見た。

ネタバレはしてません。

 

これから始まるクールのドラマも

面白そうなのがたくさんあって、困ったな。

録画容量がまたぱんぱんだな。

「おせいさん」のエッセイ

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おいおい、またまた久しぶりじゃん。

今、スターバックスにもらった

ドリンクチケットの期限がせまってるのに

気付いて、ベンティサイズのラテと引き換えて

それでイスに座ってこれを書いてる。

さむいので、フラペチーノな気分じゃない。

 

昨年田辺聖子さんの小説に出会って

(夏休みだった。『孤独な夜のココア』)

すっかり田辺さんの書く文章が好きになり

『おちくぼ姫』という、古典を訳して

田辺さんらしい文章になったものも読んだ。

 

そして、今年やりたいことの1つにあった

田辺聖子さんのエッセイを読む」

を叶えるべく、私は全3冊の

エッセイシリーズを本棚にそろえた。

 

『女は太もも』『やりにくい女房』

そして今読んでいる、『主婦の休暇』。

 

「おせいさん」こと田辺聖子さんと

仲良し「カモカのおっちゃん」が

様々なことをあーでもない、こーでもないと

小気味よく議論するエッセイだ。

様々なこと、なんてぼかして書いたけど

とくに1冊目『女は太もも』は

男と女についてが多い。

 

「おせいさん」の紡ぐ言葉は、

小説ももちろんそうだけれどエッセイになると

どうしてこんなに優しいのかな。

「人間ってどうしてこんなにだめなんだろね」

なんてことが書いてあっても、

その根底には人間に対する愛があふれてる。

 

2冊目『やりにくい女房』では、

エッセイが書かれた時代(1970年〜80年代)に

起こった出来事をなぞりながら

(チジョウのもつれで起きた事件とか)

「おせいさん」と「おっちゃん」が

これからの時代を憂いたりする。

でもそれも、「これから日本は

どうしようもなくなってくね」じゃないのだ。

女の人がもっと活躍したらいいとか、

そういうことは

昔から言われていたみたいだけど、

その先まで想像しているのがおもしろい。

 

「おせいさん」のエッセイを読んでいると

気持ちがスーッと楽になる不思議。

最近色々なところに出掛けているので

ふとさみしい気持ちになったり

必要以上に緊張したりするんだけれど

「おせいさん」のエッセイがカバンにあると

これまたスーッと心がほぐれてゆく。

 

今読んでいる3冊目『主婦の休暇』でも

すこし前に起こった事件とか、

おいしいお酒のことが書いてある。

最近も田辺聖子さん、

新しくエッセイを書いたのが

文庫になったみたいなので

このシリーズを読んじゃっても寂しくない。

 

そしてまた、小説も読みたくなるのだ。